現地レポート:フランス(1)、ミディ・ピレネーで新しいフランスを発見

  • 2012年5月10日

ミディ・ピレネーで新しいフランスを発見
パリとの組み合わせで広がる可能性

ポー川に囲まれた場所に広がるルルドのサンクチュアリー。バジリカは1862年から1889年にかけて建てられた

 毎年多くの日本人がフランスを訪れるが、なかなかパリから地方へ足が伸びない。しかし、パリを一歩出ると、それまで抱いていたフランスのイメージがさらに奥深くなることは確かだ。それだけ地方には魅力的な観光素材があふれている。今回、ランデブー・アン・フランスの研修旅行としてミディ・ピレネー地方を巡り、パリ・プラスのデスティネーションとして潜在性を探ってみた。


ピック・デュ・ミディで雄大な自然を独り占め

ピック・デュ・ミディ、標高2877メートルの山頂からの眺望は圧巻。頂上では酸素が麓よりも30%ほど少なくなるという

 ミディ・ピレネーとは、フランス南部、スペインの国境に伸びるビレネー山脈とその裾野に広がる地域圏のこと。最も便利なゲートウェイはオート・ガロンヌ県のトゥールーズになる。日本便が到着するパリのシャルル・ド・ゴール空港から約1時間30分。南部の主要都市のため便数も多く、アクセスはスムーズだ。

頂上へはバリアフリーのロープウェイで一気に上がる。車いすの人でも頂上まで上がれる

 トゥールーズからまず向かったのが、ピレネー山脈の頂きのひとつ、標高2877メートルのピック・デュ・ミディ(Pic du Midi)。麓のラ・モンジからロープウェイで標高差1000メートルを一気に頂上まで上がる。Pic(頂上)に立つと目の前に美しいピレネーの山並み。初春ながらまだ雪化粧を残した峻険な山々が折り重なるように並ぶ光景は、アルプスにも劣らずダイナミックなものだ。

頂上の宿泊施設。部屋は狭いが、窓からは唯一無二の景色が広がる。このほかミーティングルームも備える

 頂上には天文台が整備されている。その歴史は古く、19世紀末に気象観測所として建てられたことに始まる。天文や建築に携わった人たちの奮闘ぶりが分かる博物館も併設され、ピック・デュ・ミディの文化的側面を垣間みることが可能だ。ただ、残念なことにビデオも展示もフランス語のみ。マーケットを考えると日本語はまだ無理にしろ、少なくとも英語の案内はほしいところ。おそらく、まだ国内旅行がメインのマーケットなのだろう。

 頂上には宿泊施設も完備している。ツインルームを含む15部屋で最大宿泊人数は19名。トイレとシャワーは共同でそれぞれ2つ。ホテルというよりもユースホステルといった設備だが、いうまでもなく部屋からのマウンテンビューはここでしか味わえない体験だ。同行した旅行会社のメンバーからは「1泊なら、ハネムーナーにもおもしろいかもしれない」という声も聞こえた。