ビザ改善など政府に訴え、業界全体の積極的な連携で-WTTCサミット

  • 2012年4月18日

WTTCプレジデント兼CEOのデービッド・スコーシル氏  4月18日に開催された第12回世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)グローバルサミットの東京サミットで、WTTCをはじめサミットに参加した観光業界の代表者たちは、ビザ手続きの緩和や制度の改善を各国政府に要求するため、観光業界全体で積極的に連携していく方針を示した。旅行需要の喚起と雇用創出をはかるため、各国政府に対し業界全体で統一して意見を伝え、改善を強く求めていく考えだ。

 「我々の声をひとつに」と題したセッション4で、WTTCプレジデント兼CEOのデービッド・スコーシル氏は、政府に対し旅行者数や旅行者の消費額だけではなく、GDPに占める割合や雇用の割合など「我々の産業のメリットを強調し、政府が行動できるようなソリューションを(政府に)提供しなければならない」と指摘。同氏によると、2011年の観光産業は世界のGDPの9%を占めており、全世界で2億5500万人の雇用を生み出している。2022年にはGDPの割合が10%まで拡大し、雇用も7300万人増加するという。

セッション4では観光産業の発展のための取り組みについて、活発な意見がかわされた  セッション4では、ディスカッションを通し、観光産業の経済的な成長性や、雇用の確保といったメリットを訴え、業界の発展の阻害要因となる厳格なビザ制度、航空税などの課税などの問題の改善を政府に訴えていくべきとの意見が出された。スコーシル氏も「旅行、観光産業の共通のメッセージとして、組織や企業、業界の枠を超えて主張し、政府のリーダーが耳を傾けるようにしなければならない」と連携の重要性を訴え、「まずはビザの問題を、(業界全体での)共同作業で注目すべき点としていく」考えを示した。WTTCでも参加団体の意見を取りまとめると共に、他団体と協力のもと政府に働きかけていく方針だという。

 こうした考えを受け、セッション後の記者会見で観光庁長官の井手憲文氏は、ビザ緩和について「引き続き外務省や治安当局などに今まで以上に働きかけをしていきたい」考えを示した。航空税については「日本国内でも導入の話もある。今後も導入されないように働きかけていく」と述べた。

 なお、セッション4の詳細は後日掲載予定。