ランデブー・フランス、日本市場の力強い回復を強調、地方への誘客も強化
パリ、ファーストタイマーの取り込み重視
ATFでは、地方のプロモーションを強化していく一方で、パリの訴求力もさらに高めていく。パリ観光・会議局日本・アジア地区責任者のパトリシア・バルテルミー氏は昨年のパリへの日本人渡航者数について、「震災直後は前年同期比30%減にまで落ち込んだが、最終的には前年比6%減にまで回復した。今年はさらに回復していくだろう」と明かした。
また、最近の日本人旅行者の傾向について、「日本人はまるでパリジェヌやパリジャンのようにパリで旅をする。日本人の受け入れ態勢も整っているため、リラックスしてパリのシティーライフを楽しんでいるようだ」と話す。現在、パリを訪れる日本人の約60%がFIT。年々リピーターも増加しており、パリにとって日本は成熟したマーケットとして重要度を増しているという。
今後の課題はやはりファーストタイマーの取り込みだ。バルテルミー氏は「日本の旅行業界やメディアと協力しながら、またATFとも歩調を合わせながら、ファーストタイマーを増やしていきたい」と意欲を示す。このほか、日本人の宿泊日数についても言及。現在グループも含めた平均宿泊日数は3泊だが、これをさらに伸ばしていきたい考えだ。
今年の訪仏外国人旅行者数は3%~4%増の見込み
JATA澤邊氏、BtoBの役割見直しを
RDVEFの開催に合わせて、インターナショナル・フレンチ・ツーリズム・カウンシル(CTIF)の会合がベルサイユで開かれた。CTIFは2003年にATFが組織したアドバイザリー会議で、世界のフランス観光にかかわる様々な分野の専門家から構成されている。メンバーは世界45ヶ国203名で、そのうち今回の会合には130名が参加。日本からは日本旅行業協会(JATA)VWC2000万人推進室室長(取材時)の澤邊宏氏のほか旅行会社などから9名が議論に加わった。
澤邊氏によると、ATFは今年の外国人旅行者数について、前年比3%から4%増を見込んでいるという。そのなかで、課題となるのがファーストタイマーの取り込みといわゆるBRICsと呼ばれる新興国からの観光客増加だ。
CTIFでの議論を踏まえて、澤邊氏は「旅行業におけるBtoBの役割をもう一度見直すべき。商品を造るのはやはりBtoBの機能だ」と主張。他の国のアドバイザーも同じような主旨を発言していたという。
また、地方に観光客を呼び込み、観光による地域の活性化をはかっていくことも課題と指摘。パリ偏重は日本市場だけでなく世界的な課題だという。澤邊氏は「ATFと地方観光局の連携をもっと密にすることが大切ではないか。また、フランスの発達した交通網を考えれば、例えばレイル・ヨーロッパなどとの連携ももっと深めていくべきだろう」と提案し、フランス観光産業成長のカギは地方にあるという考えを示した。
ATF、新しいデジタル戦略を開始
ATFはデジタル戦略のひとつとして新ウェブサイトを立ち上げた。日本を含む世界の主要マーケット23ヶ国で展開。フランスの旅行業界によるコラボレーションで共通のコンテンツを作成し、各マーケットのATFが市場傾向に合わせてカスタマイズしていく。
ATFによると、現在フランスにおいて観光サービス販売の3分の1がインターネット経由。最終的な購入はさまざまなチャンネルで行なわれるものの、10人に8人はオンラインで旅行の準備を進めるという。RDVEFでの発表会見に臨んだATFジェネラル・マネージャーのクリスティアン・マンティ氏は「世界にアクセスするためのデジタル戦略。フランス観光に携わるステークホルダーと一体になって戦略を展開していく」と意気込みを示した。
なお、現在展開しているATFサイトは、新しいウェブサイトと併用しながら2012年末まで継続していく予定だ。
▽参考サイトATFの新ウェブサイト
現在のATFウェブサイト
感動大国、フランス。のキャンペーンサイト
取材協力:フランス観光開発機構、エールフランス航空
取材:山田友樹