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アクセスランキング、1位は社長訓示-「考える」について一考察

  • 2012年4月6日

[総評] 今週は、旅行業界関係各社の入社式における社長の訓示が1位になりました。今回のような訓示や新年の年頭所感は毎年人気の高い記事で抜群のアクセスが集まるのですが、個人的にはこうした記事が1位になるとなんとなく安心してしまいます。というのも、「当然この記事が1位になるだろう」という予想が外れる場合、往々にして事故や事件、あるいは天災が発生してよりたくさんのアクセスが集まったというケースがあるためで、予想通りに済むと「今週も無事に終わった」と安堵するわけです。

 さて、その訓示の内容ですが、まず昨年の危機的な状況を乗り越えたことへの自信や、旅行業の立場から復興に携わることへの意欲が目立ちました。また、自ら目標を定めて積極的に取り組んでいくことを求める社長も多いようです。旅行業界の環境が大きく変化し、ビジネスモデルの変革が求められる中で、新世代の若々しい力に対する期待が高まるのも当然といえるのかもしれません。

 おそらく、トラベルビジョンをご覧いただいている皆様の中には、この4月に旅行会社に入社した方もいらっしゃるでしょう。私からお伝えできることがあるとすれば、“考える”ことの重要性です。日々の業務においても、自らに与えられた業務は何のためにあるのか、その業務を効率的に遂行し、より大きな成果をあげるために必要なものは何か、など考えられることはいくらでもあります。

 そして、そのためのヒントになるかどうかわかりませんが、取材を通して培った“考え方”も書いておきたいと思います。それは、物事を“A→B”という形に単純化するものです。物事には出発点があって到達点があり、その間に過程があることを表しただけのものですが、例えば「自らに与えられた業務は何のためにあるのか」であれば、自らの現状を“A”、業務の内容は“→”とし、その結果として“B”を考えるのです。

 また、「その業務を効率的に遂行し、より大きな成果をあげるために必要なものは何か」を求めるのであれば、自らが“A”、「業務を効率的に遂行し、より大きな成果をあげる」が“B”であり、その方法として“→”を考えることになります。

 要するに、問題について自らが持っている情報を整理し、考えなければならないことを明確化する手段と思っていただいて良いでしょう。“A”“→”“B”の3つを定義し、いずれか2つの特徴や状況、状態を整理していけば、残りの1つは自然に導き出されます。

 これは色々な場面で応用が効くもので、例えばお客様が“B”というニーズを持っていたとして、自分が“A”であれば当然“→”はそのニーズを満たす役割ということになりますが、その方法を考える時には“A”をお客様に置き換えるわけです。「このお客様はこんな服装をしていて話し方はこう、家族構成はどう」といった情報を“A”に放り込んでいき、そこから“B”に至るには何が必要かを考えれば良いのです。

 あるいは、自らが所属する会社が何かしら新しい施策を打ち出した時、その施策を“→”、目標を“B”とすれば、会社の現状が“A”として見えてくることになります。逆に、現状が分かっていて施策を見れば目標も知れるでしょうし、現状と目標がわかれば提案すべき内容が分かるでしょう。

 ここまで書いてきて、実際のところは当たり前のことをいっているだけに過ぎないのですが、このようにシンプルに考えるクセを付けることが社会人として有益であることは間違いないでしょう。そもそも「考える葦」という言葉もありますし、考えながら、理解しながら仕事をするのとそうでないのとでは仕事の楽しさがまったく違います。

 何を考え、どのような答えを選ぶのかは人それぞれですが、旅行業は人に幸せを提供する職業ですから、楽しく、幸せを感じながら仕事に取り組んでいっていただきたいと願っています。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年4月第1週:4月1日0時~4月6日16時30分)
第1位
入社式で社長訓示、変革期はチャンスを生む機会-努力、挑戦を(12/04/03)

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