現地レポート:南アフリカ、MICE開催地として急成長
南アフリカのMICEトレードショー「ミーティング・アフリカ」
ラグジュアリーからCSRまで広がるMICEプロダクト
エコ・サファリロッジもインセンティブの選択肢に
南アフリカを扱うDMC(デスティネーション・マネジメント・カンパニー)のウォルサーズによれば、ヨーロッパ企業のインセンティブツアーの多くがCSR(企業の社会的責任)をプログラムに取り入れているという。地域の学校訪問、サイを密猟から守る保護活動への参加、自転車でタウンシップを巡るなどその内容もいろいろだ。こういった社会的要請に応じるには、社会や環境への意識が高いサファリロッジを組み入れるのも案となる。
クルーガー・ムプマランガ空港から車でおよそ1時間20分。クルーガー国立公園に隣接するムテトムシャ・ゲームリザーブの緑の山に囲まれたボンガニ・マウンテンロッジは、ネルソン・マンデラ元大統領が1990年の釈放後すぐに滞在したロッジ。マンデラ氏が滞在した眺めのいいスイートルームは、現在ラウンジとライブラリーに改装され、食事やハイティーもできるスペースとなる。その名もマンデラ氏の囚人番号「46664」。
ビッグ5を見るゲームドライブに加え、このエリアに残るブッシュマンの壁画を見るエコツアーも実施しており、インセンティブ用にはチームビルディングやオリジナルのゲームドライブのアレンジが可能だ。自然保護や社会活動に熱心なジェネラルマネージャーのジョン・ディアスフェレーロ氏から、ロッジのロゴマークの元になったブッシュマンの話を聞けば、南アフリカの先住民族のサステナブルな文化を学ぶことができる。
快適に非日常体験が演出できる
MICEにおける南アフリカの魅力は旅行素材のバラエティの豊かさ。シティライフが楽しめる一方、アフリカならではダイナミックな自然体験ができ、ブルートレインやロボスレイルのような鉄道の旅もできるなど、ひとつの国で多彩な組み合わせが可能だ。サファリだけでも予算や日程、参加人数に応じてあらゆる選択肢がある。インフラが整い、快適に非日常を演出できるのも大きな特長だ。
新しい素材も増えている。リンポポ州ウォーターバーグにあるレジェンドゴルフ&サファリ・リゾートは396メートルの断崖絶壁からショットを打つ19番ホールが有名で、世界の伝統コースを再現した10ホールもあり、ゴルフ好きなら行ってみたい場所。さらに世界遺産の人類のゆりかごでは有資格ガイドとともに遺跡で化石発掘体験ができるユニークな学習プログラムもある。
会議前後のレジャーはもちろん、大自然を活かしたチームビルディング、アフリカ文化をからめたテーマパーティとインセンティブのネタは尽きない。都市で急成長するアフリカを感じ、サファリでありのままの動物の姿と雄大な大地に触れれば、新しいビジネスへのインスピレーションが湧いてきそうだ。
取材:平山喜代江