アクセスランキング、1位はJTB100周年、観光復興リードに期待

  • 2012年3月16日

[総評] 今週の1位は、ジェイティービー(JTB)が3月12日に創立100周年を迎えた記事となりました。式典は東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催され、JTBが視聴者向けにプレゼントを提供している「日立 世界ふしぎ発見!」の草野仁さんが司会を務めるなど、壮観な雰囲気で執りおこなわれました。その後のレセプションも約1300名が参加されたとのことで、旅行会社、航空会社、オペレーター、観光局などの要職も数多く見受けられ、さすがの一言でした。

 100年前の3月12日、JTBは「ジャパン・ツーリスト・ビューロー」の名称で訪日外国人誘致の専門機関として設立され、様々な変遷を経て今日に至ります。

 式典の冒頭でJTB代表取締役会長の佐々木隆氏は、「この100年という時間は、人類の歴史のような非常に大きなスケールで考えた場合、非常に短い時間かもしれない。しかし、私どものような一企業にとって100年という時間は長く、大きな時間」であると話され、「その100年を懸命に生きてきたという誇りに私どもは満ちている」と喜びを表現されていました。

 トラベルビジョンをご愛読くださっている皆様の中にもJTBグループで働かれている方が数多くいらっしゃると思いますが、おそらく同様の思いを抱かれていらっしゃることでしょう。節目の年に現役で働けていることは、それだけで感慨深いものではないかと思います。

 一方、佐々木氏は、東日本大震災の1周年追悼式典の翌日に祝事をして良いものか逡巡したが、「全国から被災地に向かって大きくうねる支援の輪の広がりを見て、我々は自分たちができること、あるいはこういう時だからこそやらなければいけないことがある」、つまり「被災された地域の観光復興の支援が使命」であると判断し、開催を決定されたと話されました。

 このお考えのもと、式典に合わせて「東北観光復興応援プログラム」として東北観光推進機構会長の高橋宏明氏と、河北新報社代表取締役社長の一力雅彦氏による講演もおこなわれ、復興支援の強い意志が感じられました。震災からあっという間に1年が経過し、海外旅行市場は円高の効果もあって回復し、切迫した空気も何となく薄らいできていますが、全体的にいえば復興の道のりはまだ緒についたばかりで、その進捗は今後の海外旅行市場をも左右するでしょう。

 観光による復興支援の重要性は今更述べるまでもありませんし、押しも押されぬ最大手の旅行会社として、業界をリードしていただきたいものです。また、JTB以外の旅行会社もJTBよりも先を行くぞ、という気持ちで取り組んでいけば、きっと自分たちでも驚くようなスピードで復興が進んでくれるのではないかと思います。

 ところで、10位にはユナイテッド航空(UA)が一部を除く路線について燃油サーチャージを値下げする記事が入りました。2月に日本航空(JL)、次いで全日空(NH)が燃油サーチャージ改定基準を変更することで設定額を引き下げて以降、外航各社の動きにバラつきが出てきているのが気になるところです。

 各国の為替レートの推移に合わせたものなのかもしれませんが、値下げと値上がりが組み合わさっている航空会社もありますし、JLも円高を理由にするのみで具体的な算出方法は不明で、航空会社の主張する「透明性」はどこに行ったのかと疑問に思わざるを得ません。

 燃油サーチャージについては当欄でも常々取り上げてきていますが、最も問題なのは、そのいびつなあり方です。7位に入った「マカオ7700円」のニュースも(たまたまランクインしただけで1社を殊更に取り上げるのも心苦しいところですが)、往復で1万4000円の燃油サーチャージが徴収されるわけです。

 少なくとも形式上は、旅行会社が募集型企画旅行の旅行代金を格安に設定して大々的に広告し、その倍近い金額を何かしらもっともらしい名目で別途徴収するようなものだといって良いでしょう(もっといえば、消費者への説明や徴収の手間は他人に任せて、です)。燃油サーチャージが急激に変動して即応するのが難しいという理屈はわかりますが、“高止まり”している中では説得力に欠けます。

 燃油サーチャージの問題になるとどうしても書き方が厳しくなりますが、これを是正することが旅行市場全体に良い影響を与えると信じているからにほかなりませんので、これからも書き続けていきたいと考えています。モノには原価があって、原価の変動が販売価格に影響を与えるのは当たり前ですから、業者間ならいざしらず、一般消費者の混乱をまねくばかりの現在のあり方が見直され、真に透明性の高い運賃の表示方法が実現することを願ってやみません。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年3月第3週:3月11日0時~3月16日18時)
第1位
JTBが100周年、「次の世紀」に向け温故創新-新会社設立も(12/03/12)

第2位
アメリカン航空の再建、「年内再上場」に向けた現状(12/03/15)

第3位
マレーシア航空、A380の仕様公開、3クラス494席(12/03/12)

第4位
チャーター本数、3Q累計は22%減-外航、タイや中国など増加(12/03/13)

第5位
ルフトハンザ、成田/デュッセルドルフ線延期、全体では61路線増(12/03/13)

第6位
日本航空、基幹システム刷新へ-IT企画本部設立、執行役員の石関氏が本部長(12/03/15)

第7位
震災後は“つながり”求める傾向強く、ネットと店頭の役割明確に(12/03/13)

第8位
マカオ航空、7700円の特別運賃設定-成田、関空線で(12/03/14)

第9位
HIS、第1四半期の売上11%増、ハウステンボスも好調(12/03/11)

第10位
ユナイテッド航空、燃油、サーチャージ値下げ、一部路線除き(12/03/12)