ANTA、一般社団法人への移行案提示-支部を一般社団化、業務委託

  • 2012年3月14日

 全国旅行業協会(ANTA)は3月14日、第149回理事会を開催し、公益法人制度改革にともなう一般社団法人への移行について、移行後の各支部の基本的な考え方に関する具体案を示した。ANTAでは2012年6月の総会後、秋までをめどに一般社団法人への移行認可申請をおこない、2013年4月から一般社団法人のうち税法上の収益事業にのみ課税される「非営利型法人」に移行する予定だ。

 具体案では、ANTAの一般社団法人化に伴い、現在地方協議会の下に位置する任意団体である47都道府県支部を本部直轄とし、ANTAの受皿組織として「一般社団法人○○都・道・府・県旅行業協会」の名称で一般社団法人化する。現在、各支部が本部から委託して実施している苦情処理や弁済、研修業務などの法定事業を引き続き実施していくためには、一般社団法人化した法人格を有する組織が必要だからだ。ANTAの一般社団法人移行後は、一般社団法人化した各支部を受皿法人とし、ANTAから業務委託を実施していく。

 各支部の一般社団法人への移行をサポートするため、12年度予算案に設立のための事務費用などとして総額1410万円を計上。さらに、移行準備説明会などの支援費用として1500万円も計上した。3月中には各支部が参考にできる新組織のモデル定款も用意する予定だ。

 業務委託はANTAと受皿法人で「委託契約」を締結して実施。ANTAは受皿法人に事業費や人件費を含めた業務委託費を支払う。委託業務は、苦情解決や弁済、研修、調査・広報事務など旅行業法に基づく指定協会としての事務や、国内旅行業務取扱管理者試験事務など。加えて、受皿法人の固有業務として、会員の募集や総会の開催、研修旅行、賀詞交換会、意見交換会などの会員へのサポート事業も実施する。

 ANTAでは支部業務の指導、支援のために、本部に「支部事業要員」を設置。本部と受皿法人との間で業務委託契約の締結や委託費用の精算などの契約・経理事務が発生するため、「支部経理要員」も配置し、日常的な経理業務の処理をおこなうとした。

 また、理事会では2012年度の事業計画案も提示。国際観光分野では韓国の麗水世界博覧会や日中国交正常化40周年記念に合わせ代表団を派遣し、国際観光交流事業を積極的に進めていく考え。また、国内観光分野では、引き続き東日本大震災の復興支援として「東北・東日本観光復興支援キャンペーン」を展開し、風評被害の払拭や東北・東日本地区への送客支援活動などに取り組んでいく。さらに、群馬県で2013年1月に「第9回国内観光活性化フォーラム」を開催するほか、東北観光博など国内の各種観光イベントにも協力し、国内観光の活性化をはかるとした。