アクセスランキング、1位「JALの破綻と再生」、2位はJATA改組
[総評] 今週の1位は、2月16日のJATA経営フォーラム2012で日本航空(JL)代表取締役会長の大西賢氏が講演した内容を採録した記事でした。きっと多くの方に読んでいただけると予想していましたが、果たして2位に2倍近い差をつけての1位となりました。
個人的な感想としては、JATA会員各社の経営者層が集まる会場だったのですから、航空会社の経営者として旅行会社との関係が今後どのようにあるべきとお考えか、示していただきたかったという思いもありますが、航空需要の推移の予測など有意義な情報も多数盛り込まれていました。
JLの再建については色々と捉え方があるかもわかりませんが、この2年強でJLが再建計画の数値目標を達成してきていることは事実ですし、その舵をとってきた大西氏のご苦労は相当なものであったでしょう。
現代表取締役社長を務められる植木義晴氏が、大西氏が今回の講演で話されていた成田と羽田の棲み分け、B787型機による新たな路線網の構築、LCCの展開など、JLの今後の戦略をどのように具体化されていくか興味深く、楽しみに感じています。
次に、2位には日本旅行業協会(JATA)の改組と人事異動の記事が入っています。これは、別の記事でご紹介したビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)のあり方の見直しと合わせておこなうもので、一番の変化としては、VWCを「キャンペーン」ではなく「基幹事業」とし、海外旅行業務部(改組後は海外旅行推進部)で推進しようとする点です。
予算配分がどうなるか、「事業」とすることで硬直的にならないか、など気になる点もありますが、2016年に出国者数2000万人をめざすという大きな目標に向けて、これまで以上の取り組みがなされることが期待されます。
もちろん、首都圏空港の発着枠拡大やLCCの就航などにより座席供給量が増え、物理的には2000万人が実現できる環境になる可能性は十分にありますから、先週の当欄でも触れた通り、重要なのは「仮に出国者数が2000万人に到達したとして、その時に旅行会社がどれほど必要とされているか」です。
この点については、JATAはもちろん、業界内で働くすべての人が考えていかなくてはならないでしょう。2016年までの約5年間、それなりに時間があるようであっという間に過ぎてしまうに違いありません。現に、2012年ももう3月の半ばに入っています。
その意味では、3位の「ホールセール特集」は、ホールセラー各社が自らの価値を創出しようとする種々のお取り組みを取り上げており、ご参考になる部分もあると思います。今後も、様々な可能性をご紹介したいと思っていますので、皆様からも「私はこう思う」「こんなことを試している」など、ご意見やアイディアをお寄せいただければ幸いです。
なお、4位には珍しく外国の空港の記事が入りました。シンガポール・チャンギ国際空港がバジェットターミナルを閉鎖し、新ターミナルを建設しようというものです。「バジェットターミナル」の名はLCCの注目が高まるにつれて日本でも知られるようになりましたが、なんと2006年3月に完成したばかりだそうです。
2011年には460万人が利用したような施設を作るにはそれなりの投資が必要になるわけですが、それをたった6年で取り壊してしまおうという決断には驚くばかりです。「国際ハブ空港」の競争は国と国との競争であるともいえますが、こうした意思決定のスピードが勝敗を決めるのだろうと危惧されてなりません。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年3月第2週:3月4日0時~3月9日17時)
第1位
◆日本航空の破綻と再生、今後の戦略-大西会長 講演採録(12/03/05)
第2位
◆JATAが組織変更、人事異動も(12/03/07)
第3位
◆ホールセール特集(3):高まるネット販売率、店舗とのシナジー効果も(12/03/07)
第4位
◆チャンギ空港、LCCターミナル閉鎖へ、成長見すえ新ターミナル(12/03/07)
第5位
◆HTBクルーズ、長崎/上海初便はキャビン満室-マーケティング強化(12/03/04)
第6位
◆SNS時代の消費行動、ネットと旅行に接点あり-JATA経営フォーラム(12/03/08)
第7位
◆「想定外」は責任逃れ、危機後の事業継続のために-JATA経営フォーラム(12/03/06)
第8位
◆全日空、日中路線の全便をデイリー運航へ、関空線増便で(12/03/06)
第9位
◆観光庁、Jリーグの海外展開に連携、海外でのプロモーション強化(12/03/06)
第10位
◆旅行業倒産、2月は4件、小規模のみ-宿泊業は13件、5件増(12/03/08)