空港運営改正へ-「上下一体化」めざし法案を閣議決定
政府は3月6日、「民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律案」を閣議決定した。これは、国管理空港などの運営を民間事業者がおこなう際の基本方針や法律の特例措置などを定め、空港運営の民間委託を推進するもの。民間委託により、空港関連施設と空港ビルの「上下一体化」運営による各空港の経営効率化や集客力の向上をはかり、航空産業の活性化につなげたい考えだ。早ければ4月または5月には国会で審議が開始される見込みだ。
国土交通省では2010年7月に「空港運営のあり方に関する検討会」を設置し、空港運営について議論を進めてきた。新千歳や羽田など、現在27空港ある国管理空港では、着陸料は路線ごとの割引などの設定はあるが、年度ごとの全空港の収支バランスを考慮し基本的には全国一律で定めている。
また、滑走路を含む空港基本施設は国が管理し、空港ビルは民間が管理するなど運営主体が分離しているため、現体制では空港ターミナルビルの収益を活用した着陸料の引き下げなど、利用者を増やすための施策も不可能。空港の効率的かつ一体的な経営がおこなえないと課題があがっていた。
こうした課題を踏まえ、国土交通省では空港運営を民間委託することで、空港ごとの特性を活かした経営の実現や、空港基本施設と空港ビル運営の一体化による機動的な空港運営をめざす。これにより、たとえば着陸料の引き下げや、空港周辺地域の観光政策との連携強化、航空会社の積極誘致が可能となるとした。
オープンスカイの推進やLCCの新規参入が進むなか、民営化で「真に魅力ある空港の実現」をはかり、航空ネットワークの拡大や利用者の利便性向上、空港周辺地域の経済活性化や雇用の拡大、各空港の経営の効率化、収益力や集客力の向上をめざす考えだ。
法案では国管理空港運営への民間の能力の活用を推進するため、国土交通大臣がその基本方針を策定し、基本方針に基づき運営の民間委託について、関係者から提案の募集を実施することとした。また、PFI法(民間資金などの活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)の、公共施設の運営を民間に委ねることができる「公共施設等運営権制度」を活用。民間委託を可能とするため、PFI法、航空法、空港法などの関係法律で特例措置を定める。
これにより、民間事業者は空港保安管理規定の策定義務を負うほか、着陸料の届出や変更ができるようになる。さらに、地方管理空港にも同様の特例措置を定め、設置管理者である地方公共団体の判断で、運営などの民間委託を可能にするとした。
今後は2012年度中に、民間業者や地方自治体などの幅広い関係者から、国管理空港の運営の民間委託に関する具体的な提案を募集。2013年度中に個別空港ごとの民間委託手法を具体的に検討し、2014年度から国管理空港の運営の民間委託を開始する計画だ。