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16年の供給座席5400万席も、旅行会社は「価値」で販売を

  • 2012年2月20日

 日本旅行業協会(JATA)が2月16日に開催した「JATA経営フォーラム2012」で、航空経営研究所取締役副所長の牛場春夫氏は2016年の国際線供給座席総数として約5400万席との見込みを示した。牛場氏は、参加者に大体のイメージを持ってもらうため「いくつかの前提をおいて、大胆な想定をした」とし、前提条件として、首都圏空港の発着枠拡大などによる国際線発着回数の年増率を6%増と想定。LCCについては16年に現在の片道ベースで約200万席から4倍の約800万席になると仮定した。これにより、総供給座席数は約5400万席となるとの見通し。なお、機材小型化による提供座席数の減少は勘案していない。

 また、観光庁が現在策定中の観光立国推進基本計画の見直し案で提示した目標に基づき、16年の旅客総数が海外旅行者数2000万人、訪日外客数2000万人とし、これに通過客などその他の旅客が300万人を加えた計4300万人と推定。搭乗率は約80%になると推計した。同氏は「国際線旅客便の制約をなくしたことで、物理的なマックスはここまでいく」が、「旅客の需要がなければ供給座席数は出てこない。皆さんの力で需要を創造しなければいけない」と参加者に呼びかけた。

 こうした想定を受け、近畿日本ツーリスト(KNT)取締役兼執行役員旅行事業本部海外旅行部長の權田昌一氏は「渡航者が増えて刺激されればすごくありがたい」としながらも「座席数が増えるイコール旅行会社で商品を購入する旅行者が増えるというわけではない」と指摘。旅行会社が生き残っていくためには航空会社との関係を強固にし、価値ある商品の提供で「ある程度長いスパンで需要喚起していく、地方需要を創っていくことが大切」との考えを示した。

 トップツアー海外旅行部副部長の西村繁一氏も「旅行会社が必要な航空会社、お客様とそうでない場合に二極化するのでは」とし、価値あるサービス、商品の創造で「我々を必要とするお客様に対し、(我々を必要とする)航空会社とともに商品展開していきたい」と述べた。また、エス・ティー・ワールド最高経営責任者の鹿島義範氏は、旅行商品を買う価値をスタッフが顧客に提供していくことで「お客様の信頼にしっかり答える、手数料はいただくがしっかりアドバイスする」体制を整えていきたいとした。