16年の訪日外客目標、1800万人に下方修正-観光立国推進基本計画で
観光庁は2月8日に開催した交通政策審議会(交政審)観光分科会で、観光立国推進基本計画の原案を提示した。原案では2016年の訪日外国人旅行者数の数値目標を1800万人に設定。東日本大震災の影響による訪日外国人旅行者の減少を受け、当初目標としていた2000万人から下方修正した。新成長戦略でかかげた、2019年までに2500万人とする目標は引き続き維持する。また、目標ごとに「参考指標」を新たに設定。訪日外国人については、ゴールデンルート以外の地域での延べ宿泊者数を2400万人程度、リピーター数を1000万人程度に設定した。
16年の海外旅行者数の目標は前回会議で示した2000万人案を採用した。参考指標では、若者の旅行離れが課題にあがるなか、若年層の海外旅行者数の目標を300万人に設定した。また、国内宿泊観光旅行の年間平均宿泊数は2.5泊とし、参考指標として若年層の年間平均宿泊数を平均3泊に設定。国内宿泊観光旅行をおこなわない国民の割合も、10年の64.4%をふまえ、16年は40%程度に抑えることとした。
国内における旅行消費額の目標は30兆円とし、参考指標で宿泊旅行を18兆円、日帰り旅行を6.5兆円、訪日外国人旅行を3兆円に設定。また、国際会議の開催件数では5割以上増をめざし、参考指標では訪日外国人参加者数を170万人にするとした。
今回新設した旅の質向上のための満足度調査では、訪日外国人の満足度について、11年実績をふまえ前回会議案から上方修正した。「大変満足」と回答する割合を45%程度、「必ず再訪したい」と回答する割合を60%程度をめざす。一方、国内観光地域の旅行者満足度は前回案を維持し、「大変満足」と「必ず再訪したい」と回答する割合を25%程度まで増やすとした。
そのほか、今回の観光立国推進基本計画では、基本的な方針のなかに「震災からの復興」を組み込んだ。また、「観光庁が主導的な役割を果たすべき主な施策」として、「国内外から選好される魅力ある観光地域づくり」「オールジャパンによる訪日プロモーションの実施」「国際会議等のMICE分野の国際競争力強化」「休暇改革の推進」の4施策を掲載し、重点的に取り組んでいく姿勢を示した。たとえば、「国内外から選好される魅力ある観光地域づくり」では、観光地域のブランド化や、複数地域間の広域連携などをはかる。
今後は2月下旬にパブリックコメントを募集し、3月26日に開催予定の第6回分科会で最終案を取りまとめる。同会合で了承後、閣議決定と国会への報告を経て、4月1日から計画を開始する予定だ。