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インバウンド、東アジア主要4市場の動向と対策-JNTO旅行振興フォーラム

  • 2012年2月8日

 日本政府観光局(JNTO)は2月2日、「第9回インバウンド旅行振興フォーラム」を都内で開催した。フォーラムでは賛助団体・会員を対象にした個別相談会のほか、市場説明会で海外事務所長等が最新動向、今後の活動方針、訪日需要喚起のためのヒント等を発表。震災に対する各国の反応や国民性を踏まえた具体的なプロモーション策など、駐在ならではの生きた情報が多く語られた。今回はインバウンドの65%を占める東アジア圏(韓国、中国、香港、台湾)についてレポートをする。


韓国:就航便の多さを生かしたルート開発
放射能・震災の不安払拭が急務

ソウル事務所長の鄭然凡氏  一昨年の2010年、訪日韓国人客数は過去最高となった。ただし、韓国発の海外旅行先の国別シェアでみると中国に大きく溝をあけられている。日本語を学習する人が多く、訪日ニーズが高い20代を中心とした若者も中国語を学ぶ傾向が強まってきており、今後渡航先の中国シフトは加速することが予想される。

 東日本大震災後から夏までは、西日本への格安商品、LCCを利用した北海道旅行などを中心に回復したが、7月以降は原発報道が盛んになると不安が強まり、様子見の傾向が強くなった。1月末の山梨県を震源地とする地震、例年では問題にならないインフルエンザの流行等を理由に大量のキャンセルが出るなど、今年に入ってからも敏感な反応が続いている。また経済の後退、ウォン安なども回復の遅れに追い打ちをかけている。

 ただし、日本人の韓国訪問が順調なこともあり、2011年12月には日韓間の就航便数が震災前を上回った。今後も新規就航、増便などが見込まれ、航空座席の供給は増加傾向にある。LCCとの競争により、航空券の値下がりが予想されること、訪日クルーズの就航予定などから「ツアー価格が下がり、新しい需要の掘り起こしも期待できる」とソウル事務所長の鄭然凡氏は分析する。

 ピーアール面では、SNSやクーポンサイトが若者を中心に人気だ。韓国ならではのテレビホームショッピングも好調で、1回の放送で200人から1500人程度を集客している。販売でありながら情報提供としての側面も持つことから「東日本の安全性を訴える要素も加え、今後強化していきたい」と鄭氏。放射能や地震への不安を和らげる情報や環境整備、就航地の多さを生かし、都市部に集中している観光ルートを地方へ広げていくことなどがポイントとなりそうだ。