12年春闘、10年水準まで回復はかる-11年秋闘、観光業で一時金微増

  • 2012年2月2日

 サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は2012年春闘で、年収水準の2010年の水準までの回復をはかる考えを示した。同連合によると、ここ数年の交渉では賃金カーブを維持してきたが、一時金では前年の水準を大きく下回っており、年収ベースでみると低下しているという。春闘では観光立国にふさわしい「魅力ある産業への進化」と雇用の確保を前提に設定。賃金カーブを維持・確保した上で、11年春闘から活用している「指標」に基づき、中期的賃金目標の「35歳年収550万円」達成をめざす。指標を活用しない場合も加盟組合についても年間支給月数4.0ヶ月を目標として設定した。

 また、定昇制度がない組合や賃金制度が未整備の組合は、月収ベースで観光・航空貨物業で5300円、ホテル・レジャー業で5000円を基本とした定昇分の確保をはかり、その上で可能なかぎり0.5%以上の賃金改善をめざす。契約社員やパートタイマーなどの待遇改善では、月収3900円以上、時間給労働者は時間額で20円以上の賃金改善をめざすとした。

 要求書の提出は原則として2月末日とし、提出が困難な場合は闘争委員会と調整し、3月上旬までには提出することとした。また、早期決着をめざすために3月中旬に集中交渉期間を設定。3月2日の中央闘争委員会で協議し、具体的な日付を決定する。妥結は例年通り3月末日までの決着をめざす。


▽11年秋闘、観光業は微増、ホテル・レジャーは減少

 2011年の秋闘では、観光・航空貨物業の一時金単純平均は前年の微増に留まった。旅行業は東日本大震災や原発事故から夏以降回復傾向にあったが、震災の影響や先行きの不透明感から慎重な姿勢を示す企業が多かった。12月決算期の企業では決算状況を慎重に見極めて交渉に臨んだこともあり、交渉は長期化。ここ数年の企業状況の厳しさから、冬期一時金の要求を断念した加盟組合もあった。

 観光・航空貨物業では、2011年12月15日までに合意した組合のうち集計できた19組合では、単純平均は1.298ヶ月となり、前年の合意水準から0.051ヶ月上回った。また11年春闘で合意、もしくは水準確定済みの組合を含む50組合の平均は1.357ヶ月となり、前年水準から0.062ヶ月下回った。11年の年間一時金の合計水準では、夏の一時金の落ち込みが響き、0.111ヶ月増の2.811ヶ月と微増にとどまった。

 ホテル・レジャー業では、12月15日現在、妥結もしくは水準確定した組合を含む46組合で、冬期一時金の単純平均は0.955ヶ月となり、前年の水準を0.241ヶ月下回った。その一方、前年の水準を上回った組合も14組合あり、企業業績の回復と震災の影響の濃淡があらわれた結果となった。また、年間一時金の単純平均は1.679ヶ月で、夏期一時金の減少もあり、前年水準に比べ0.667ヶ月下回る結果となった。