2011年のインバウンド、市場別客数と動向-3割減も回復基調に
ビジネスは完全回復、アメリカ、イギリスは12月に1ケタ台に
1月20日の会見で、JNTO理事長の松山良一氏は「ビジネスは完全に戻ってきたのでは」と自信を示した。ビジネス需要の強いアメリカは通年では22.2%減の56万6000人だが、12月には4.8%減の5万1400人に回復。イギリスも通年では23.9%減の14万人だが、12月には6.0%減の1万1900人で、縮小幅は1ケタ台になっている。
目的別のデータ(1月~10月までの暫定値)をみると、総数は30.5%減の509万5708人。そのうち観光客が39.6%減の327万5681人であるのに対し、商用客は13.1%減の1000万2441人だ。10月単月に限れば、総数は15.3%減の61万5701人で、観光客は20.4%減の40万4377人に対し、商用客は2.4%減の14万3498人とほぼ前年並み程度にまで戻ってきている。シェアで比較しても、商用客は全体の18.1%となり前年よりも4.6ポイント増加。いずれの市場も、商用客の比率が高まっている。
重点15市場のうち、10月までの累計でプラスになった市場はないが、10月単月で見れば、アメリカは1.1%増の2万2218人、イギリスは3.5%増の6206人と前年を上回った。また、東アジアについても、中国は5.2%増の2万4128人、台湾が3.3%増の9868人と上回り、香港も前年と同じ2995人となるなど、ビジネス需要の回復傾向が見てとれる。
このほか、重点市場ではオーストラリアがあるが、通年で27.9%減の16万2700人、12月単月では25.4%減の1万8500人。震災後の4月に64.7%減となった後、4割減台で推移し、10月に11.0%減まで回復したものの、まだ原発事故への消費者心理の大幅な改善には至っておらず、特に家族の戻りが弱いという。12月以降の今年のスキーシーズンについても、家族層を中心にとする需要が弱く前年を大幅に下回る実績だ。しかし、間際予約が入る傾向もあり、少しずつ回復基調に向かっているという。