2011年のインバウンド、市場別客数と動向-3割減も回復基調に
中国、香港は12月にプラス転化、台湾も10月に前年上回る
すでに前年比でプラスに転じている市場もある。それが中国、香港だ。いずれも通年では、中国が26.1%減の104万3500人、香港が28.3%減の36万4900人となっているが、中国は11月に35.0%増、12月に31.9%増とプラス転化。香港は10月に16.6%増、11月に22.8%増、12月は4.4%増と10月にプラスに転じている。また、台湾も通年では21.6%減の99万4000人だが、10月に2.6%増と前年を上回った。11月は3.6%減、12月は4.4%減だが、1ケタ台の縮小幅で推移している。
とはいうものの、中国については尖閣諸島問題で訪日需要が縮小した昨年10月以降の反動の表われもある。しかし、2011年10月の縮小幅は1.9%減、11月が16.1%減、12月が3.3%であり、2009年を超える過去最高レベルまで回復が進んでいる。11月と12月に限ると、単月で過去最高であるといい、今年の春節休暇中の訪日客も過去最高レベルになるとの予測もある。
香港については、実は重点15市場の中で震災後に4月に87.6%減まで落ち込み、月別の減少率が最大となったのが香港だった。10月以降もプラスを維持しているのも香港のみであり、強い回復傾向にある。台湾も早くに回復に向かい、6月には他に先駆けてマイナス幅が2割強に縮小した。震災後、台湾教育部が8月までの訪日教育旅行の取り消しを求める通達を発出したが、9月には再開され、訪日教育旅行の回復も進んだ。
こうした回復についてJNTOは、震災以降の政府や自治体によるミッションやVJ事業による安全・安心の情報発信、大規模な広告宣伝事業の取り組みの効果と説明。また、台湾ではまた、震災後、早々に日本への視察ツアーを実施したり、台湾の有力者が訪問団を率いて来日するなど、相互交流の活発化がプラスに作用したとも見る。