PATA、「ジャパン・クオリティ・トラベル」で観光収入の増加を-新春講演会
太平洋アジア観光協会(PATA)は今後、インバウンドにおいてクオリティのある健全な訪日旅行により、観光収入の増加を追求していく方針だ。
1月31日に開催した新春講演会では、PATA日本支部会長の足立成雄氏が挨拶の中で「太平洋アジア地区からの訪日旅行が量・質ともに牽引し、『ジャパン・クオリティ・トラベル』として誇れる旅行が主流となるよう、提案していきたい」と言及。また、講演に登壇した日本政府観光局(JNTO)理事長の松山良一氏も2012年の方針の説明のなかで、「量的目標が実現すれば日本は変わる。量の追求はしていかなくてはいけない」としつつも、「観光関連業者がハッピーな形で伸びていかなければ長続きしない」と、質の重要性にも触れた。
PATAでは昨年、「ジャパン・クオリティ・トラベル委員会」を立ち上げた。発起人であるJTBグローバルマーケティング&トラベル代表取締役社長の深川三郎氏によると、例えば重点市場のひとつである中国人訪日客は70%から80%がファーストタイマーであり、安価なツアーを利用する人が多い。そのため「今後のリピーター増加には『本当に良かった』『また来たい』と思える旅行をしていただくことが大切」と、旅行の質を上げ、健全な訪日旅行を提供する重要性を強調する。
深川氏は新春講演会の質疑応答で、「貿易収支が31年ぶりの赤字となり、今後も続くとの予想がされるなか、人数ではなく観光収支という点で追いかけて行きたい」と、PATAの考えを提示。松山氏も「クオリティを上げることは共通のターゲット。知恵を借りたい」と応えた。
なお、深川氏によると、日本人海外旅行者の海外消費額は4兆円といわれているが、訪日旅行客の消費額は、その3分の1から4分の1程度の約1.2兆円だ。まずは均衡するまでに引き上げたい考えで、「日本経済の活性化に繋がるインバウンドの力を訴えたい」と語った。