溝畑長官、12年訪日客数900万人に意欲-19年2500万人は維持

  • 2012年1月22日

 観光庁長官の溝畑宏氏は1月20日に開催した定例会見で、2012年の訪日外客数で「900万人をめざすのが目安だ」と意気込みを述べた。2011年の訪日外客数は日本政府観光局(JNTO)推計値によると前年比27.8%減の621万9300人。溝畑氏は「(12年は)10年の861万人を上回る過去最高数値を目標にしたい」と意欲を示した。

 JNTOによると、11年4月の訪日外客数は62.5%減だったが、12月は11.7%減まで回復した。溝畑氏は、東アジア主要4市場で「中国は11月に続き(月ベースで)過去最高の数字。台湾、香港もほぼ震災前まで回復した」と評価する一方、韓国は「30.1%と厳しい数字」であることから、「予測を上回る回復だが、本格回復にはまだ至っていない」との考えをみせた。

 同氏は「韓国の訪日早期回復を成し遂げられれば、震災前の水準に十分戻ると考えている」とし、韓国市場の回復に意欲をみせた。すでに訪日誘致策として韓国でトップセールスを実施。原発事故に対する情報発信をおこなったほか、円高ウォン安対策として訪日外国人向け鉄道パスの大幅割引や、宿泊が最大5割引になるプランの設定など、各社の訪日向け割引策の取り組み事例を紹介したという。

 今後は引き続き情報発信を実施するとともに、東北観光博で東北の旅行需要の回復をはかる。また、12年度観光予算で新設した東北・北関東インバウンド再生緊急対策事業では、訪日外国人による訪日観光の安心・安全の発信もはかる考え。さらに、東京都と協力し、東京観光のテコ入れもおこなう。各区と連携をはかることで「東京を観光としてもっと強調していきたい」考えだ。

 また、溝畑氏は4月に開催予定の世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)グローバルトラベル&ツーリズムサミットや秋の国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会の東京での開催、LCCの活発化や九州を始めとしたクルーズ船の寄港などを今年のプラス要因としてあげた。2019年2500万人の達成についても目標を維持する考え。ただし、13年や16年などの中期目標については、震災の影響を加味して見直していくとした。