現地レポート:台湾、2011自転車フェスティバルとサイクリング観光
自転車の島・台湾、国際レースも開催
サイクリングで新しい台湾旅行を
サイクリング観光の整備進む
海岸線と山間の緑を楽しむ2コースを体験
整備が進められているサイクリングロードは自転車専用で、初心者や家族連れでも安心してサイクリングを楽しめる。今回は、日本の国定公園に相当する台湾国家風景区である北海岸及び観音山国家風景区の、緑の山と青い海を同時に楽しめる海岸道路を自転車で巡った。
台湾最北端に近い石門から三芝までの海岸線を縫うように整備された「三芝石門サイクリングロード」は、海蝕海岸やビーチ、松林の中を抜けるように走り、遥か彼方の水平線と潮の香漂う風が出迎えてくれた。全長約10キロ、約1時間のサイクリングは、高低差も少なく、体力を気にしないで気軽に楽しめる。台北から車で約90分。途中に位置する淡水でもレンタサイクルで老街(旧市街)や河畔の散策も可能で、セットで楽しめるのはこのコースの魅力といえる。
もうひとつ、東北部の東北角及び宜蘭海岸国家風景区にある「福隆サイクリングロード」も訪問。台北からは列車や車で約2時間ほどで着く。残念ながら当日は降雨のため、見学のみとなった。ここは多少の高低差はあるが、多彩な緑が織り成す山間のコースで、以前、鉄道が走っていた全長約2キロのトンネルを通るなど、変化に富んでいる。このトンネル、実は1921年から建造されたもので、日本人土木技師の吉次茂七郎氏が工事監督者を務めたという日本とゆかりの深いトンネルだ。長期間使用されずに封鎖されていたがサイクリングロードにあわせて周囲も整備され、今では多くの台湾の人々がこのトンネルに親しんでいるという。
いずれのサイクリングロードにも、付近にレンタルサイクルショップがあるほか、国家風景区管理処(ビジターセンター)もある。地域の観光資料や特産品などの展示のほか、初心者、中級者、上級者、ファミリー向けのサイクリングコースを案内するリーフレットを日本語と英語、中国語などで用意しており、サイクリング観光を楽しむための情報も備えている。DVD等の上映も可能な100席程度のスペースもあり、ツアーではオリエンテーションの場としても使えそうだ。
サイクリングを取り入れたツアーは、オートマティックな従来の観光とは異なり、五感がフルに刺激され、能動的な体験をする旅行が可能だ。ハイキングや登山、マラソンなどのツアーの人気が高まっているが、こうしたカテゴリーに入れても遜色ない。新しい旅の一面を提案できそうだ。