現地レポート:メキシコ、世界遺産をつなぐ世界遺産「銀の道」
世界遺産「銀の道」がつなぐコロニアル都市を周遊
打ち出しにくかった小都市の魅力アピールが可能に
文化・歴史好きなシニア層のほか女性層へ
マヤ暦で新時代が始まる2012年に期待
日本発のツアーでは、ゲートウェイとなるメキシコシティは観光せず、素通りしてしまうこともある。しかし、メキシコシティの歴史地区は世界遺産に登録されていて、見どころも多い。また、テオティワカン遺跡に向かう途中には、メキシコ人にとって最も大切な信仰地とされるグアダルーペ寺院がある。これらをゆっくり観光して、メキシコシティに滞在するプランも考えられる。
今回のFAMツアーでは「ケレタロの歴史史跡地区」「サン・ミゲルの要塞都市」「古都グアナファト」「グアダラハラのオスピシオ・カバーニャス」「メキシコシティ歴史地区」「古代都市テオティワカン」など、複数の世界遺産を見て回ることができた。「一度の旅行で数多くの世界遺産を見られるのは、旅行者にとって魅力。パンフレットに大きく打ち出せる」と参加者は話す。
「銀の道を実際に回ってみて、歴史や宗教に関する予備知識があれば、より楽しめると実感した」と参加者。コロニアル都市にはスペイン統治下の影響が色濃く残されており、その歴史を知ることで思いが深まる。その手助けをするには、知識と経験の豊富なガイドがスルーで付くのが望ましい。「知的好奇心を刺激する旅」として事前のセミナー開催などで予備知識を持つとともに、期待を高めることもできそうだ。「大量送客は難しいかもしれないが、一定の旅行者の志向に合う魅力のある素材を発掘できた」と話す参加者も。
「銀の道」をたどる場合、陸路での移動が多くなるが、各都市の間の移動時間は2時間から3時間30分ほどで、長時間になり過ぎることはない。食事は日本人の口に合いやすく、野菜が多いのも特徴だ。「ヘルシーなイメージは、若い女性に訴求する。脂っこい料理が少ないので、シニア層も喜ぶのではないか」と話す参加者もいた。
また、2012年はマヤ暦において新しい周期が始まるとされる象徴的な年であり、関連イベントがメキシコ各地で開催される。マヤ暦やインカ文明はスピリチュアルなイメージがあり、日本でも女性誌に取り上げられるなど若い女性を中心に注目されている。従来のマーケットであったシニア層に加え、知的な旅を体験したい富裕層やかわいい街並みが訴求する女性層など、多様なターゲットに合った幅広い商品展開が期待できるだろう。
取材:江藤詩文