現地レポート:メキシコ、世界遺産をつなぐ世界遺産「銀の道」
世界遺産「銀の道」がつなぐコロニアル都市を周遊
打ち出しにくかった小都市の魅力アピールが可能に
やっぱり外せないグアナファト、グアダラハラ
高額商品の造成につながる可能性も
一方、カラフルな街並みがひと際美しいグアナファトやグアダラハラは、これまでも比較的ツアー商品に組み込まれており、欠かすことができない存在だ。
古都グアナファトは、銀がもたらす巨万の富により急速に発展した。そのため、街の整備が追いつかず、曲がりくねった坂道の旧市街に絢爛豪華な建造物が建ち並んで、不思議な光景を描いている。ピンクや水色、薄いグリーン、クリームイエローといったカラフルな建物が、まるで積み木を重ねたように密集しているさまは、メキシコで一番美しいと讃えられることもある。もちろん、世界遺産にも登録されている。
グアナファトの散策も、徒歩が基本となる。コロニアル様式の、きらびやかな建物の間を歩いて、主要な観光スポットを回る。細い坂道を象徴するような建物の間に延びた「口づけの小道」では、さまざまな国籍や年代のカップルが記念写真を撮影するために行列を作っていた。ギリシャ風の壮麗なファレス劇場や町のアイコン的存在のバシリカを見学したり、ケーブルカーを利用してピピラ像の立つ丘に登り夜景を見たり、コロニアル都市を存分に満喫できる。
グアダラハラでは、メキシコの壁画三大巨匠のひとりでグアダラハラ出身のホセ・クレメンテ・オロスコによる壁画を見ることができる。壁画が描かれた、かつて孤児院だったオスピシオ・カバーニャスは特に有名で、世界遺産に登録されている。ハリスコ州政庁舎にもオロスコによる壁画が残り、誰でも中に入って自由に鑑賞できる。食料品や日用品、民芸品などがところ狭しと並ぶリベルタ市場も、観光の目玉のひとつだ。
また、「ツアーに組み込みたい」と参加者が口を揃えたのが、グアダラハラから車で30分ほどのところにある郊外の町トラケパケ。マリアッチの発祥地といわれ、民芸品の里として知られる小さな町で、若手アーティストによるオブジェが町を賑わせている。ローカル色の強い土産物から高級なアクセサリー、新進作家によるアート作品までさまざまなショップが建ち並び、町全体に活気がある。「歴史地区で宗教施設ばかりを見学した後なので、風通しのいいトラケパケはいい息抜きになる」と参加者は話す。
このほか、今回は視察しなかったが、グアダラハラ郊外のテキーラ村はメキシコを代表する蒸留酒テキーラの発祥地とされ、これも世界遺産に登録されている。原料となるリュウゼツランの畑やテキーラ製造工場の見学を組み込むのもおすすめだ。周辺観光地を組み込めば、グアダラハラは連泊できるほど観光素材が豊富だ。