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現地レポート:メキシコ、世界遺産をつなぐ世界遺産「銀の道」

  • 2012年1月13日

世界遺産「銀の道」がつなぐコロニアル都市を周遊
打ち出しにくかった小都市の魅力アピールが可能に

ピピラの像が立つ高台から見たグアナファトの街並み。建物が坂道に沿って建ち並ぶ  アエロメヒコ航空(AM)は、「メキシコ+1(プラスワン)」をキーワードに取り組むデスティネーション開発で、2010年に世界文化遺産に登録された「内陸部の旧王道」、通称「銀の道」を巡るルートを提案した。従来の人気観光都市に加え、小さなコロニアル都市を魅力的にアピールできるのがポイントだ。昨年11月に実施した第2弾のFAMツアーでは、銀の道の北ルート上にあるケレタロ、サンミゲル・デ・アジェンデ、グアナファトの3つのコロニアル都市と、銀の道沿いにあるグアダラハラ、メキシコシティ、テオティワカン遺跡を組み合わせたルートを視察。複数の世界遺産を効率的に周遊するツアー造成の可能性を探った。


こじんまりとして美しいコロニアル都市
自由散策や郊外の観光との組み合わせも

サンミゲル・デ・アジェンデの民芸品市場。しつこい客引きもなく、ゆっくり見て回れる 「銀の道」とは、メキシコシティ北部から現在の米国ニューメキシコ州まで延びていたかつての交易路をいう。16世紀から約300年間にわたって、メキシコの鉱山で産出された銀の運搬ルートだった。このルートには、メキシコを代表するコロニアル都市がいくつもあり、今後のメキシコ観光で注目される可能性を持っている。

ライトアップされたパロキア教会。サンミゲル・デ・アジェンデのシンボル的存在  そのひとつに、メキシコシティから約250キロメートルに位置するケレタロや、さらに100キロメートル離れたサンミゲル・デ・アジェンデがある。特に参加者が特に好感触を得ていたのは、サンミゲル・デ・アジェンデ。芸術の街としても知られる淡い黄色やオレンジで彩られた美しい街並みは散策するだけでも楽しめる。趣きの異なる教会や聖堂が建ち並んでいるので、ひとつひとつじっくりと見て回るのもいい。

 サンミゲル・デ・アジェンデは、銀ではなく手工業で発展を遂げてきた。そのためか、民芸品市場には、洗練されたデザインの小物やアクセサリーなどを多く見かけた。「これまでのメキシコツアーのマーケットには入らなかった若い女性にも訴求する可愛らしい町」と参加者。

ケレタロに残る74のアーチを持つ水道橋。市民に貴重な飲み水を届けてきた  一方のケレタロは落ち着いた雰囲気ののどかな町だ。「ケレタロの文化財地帯」が世界遺産に登録されており、見どころには18世紀に建築された水道橋、教会や修道院などの歴史的建造物群、スペイン植民地時代に幾何学的に整備されたコロニアルな街並みなどがある。

テポツォトランのサンフランシスコ・ハビエル教会。細かな装飾が施された黄金の祭壇 どちらの町も規模が小さく、歩いて回るのに適している。英語はほとんど通じないが、目安となる建物を覚えておけば、ほぼ道に迷う心配はない。フリータイムをしっかり取ることで、町の空気を肌で感じたり、人々とコミュニケーションを取ったり、カフェでお茶を飲んだり、貴重な体験ができそうだ。ただし、「来てみなければ分からない街の空気感といった魅力をどう伝えるか」との声もある。

 従来のツアーではいずれの町もスケジュールに組み込まれないか半日観光のみで、滞在するケースはほとんどない。しかし周辺にも観光素材があり、メキシコシティとケレタロの間に位置するテポツォトランには、メキシコ三大教会といわれるサンフランシスコ・ハビエル教会がある。また、今回は訪問しなかったが、ケレタロの近郊には良質なワインを醸造するワイナリーがある。これらを組み合わせてケレタロやサンミゲル・デ・アジェンデに宿泊し、長期日程の旅行を作ることも可能だろう。