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訪日3000万人に必要な座席数調査を、国交省が交通問題検討会

  • 2011年11月13日

 国土交通省が11月11日に開催した「交通の諸問題に関する検討会」の第4回会合で、まちづくりの観点と観光立国の観点から交通行政の改善の可能性が議論された。検討会は社会経済情勢が変化するなか、交通分野の全体的な状況や問題点などを把握し、行政施策などについて幅広く検討するためのもの。11日の会合では、有識者から訪日外国人3000万人を達成するために必要な航空座席数を明確化するべき、内際乗り継ぎを改善すべきといった意見が出された。

 会合では総合政策局公共交通政策部参事官の石井昌平氏が、観光立国の実現の観点として、観光立国推進基本計画の改正など実現に向けた施策の推進状況や、日本人の旅行動向や具体的な国内観光振興策、訪日外国人増加に向けた取り組み、オープンスカイやチャーターの運航状況などの航空関連の現状を説明。それを踏まえた上で、参加者が意見交換をおこなった。

 淑徳大学教授の廻洋子氏は「海外旅行、訪日旅行の市場をけん引してきたのは航空」と指摘し、「訪日外国人3000万人実現に向けてどれだけ座席が必要かなど、航空との連携を調査するべき」と提案。神戸大学大学院工学研究科教授の喜多秀行氏も、「海外/地方間の航空のアクセスが悪い」とし、成田や関空に就航している外国航空会社に対し、日本の国内線の商用運航を認めることで、ネットワーク拡大ができると意見を述べた。

 一方、訪日外国人の受け入れ関連では、言語だけではなく文化の違いも考慮したうえでの取り組みを求める声もあった。例えば、東京の電車は運行頻度が高く、乗り継ぎも数分単位と短時間で可能だが、外国人旅行者にとっては戸惑う原因になる。こうした差を考慮することで、サービスの向上へとつながるとした。

 このほか、交通手段を観光地への移動手段ではなく、例えば有名列車の乗車自体を目的とするように「観光」そのものとして捉えるべきとした意見や、まちづくりと観光振興はともにおこなうべきとの意見、障がい者に対する観光面でのインフラ整備などの課題があげられた。

 国土交通省では、今回の議論で出された意見をもとに課題を整理し、年明けには今後の取組の方針を策定する方針だ。