ピーチ、低コスト体制に注力-PKGツアーは「考えていない」
ピーチ・アビエーション(MM)代表取締役CEOの井上慎一氏は、11月10日に関空に到着した初号機のお披露目イベント後に囲み取材に応じ、既存の航空会社のビジネスモデルをすべて見直し、低コスト体制に注力していく考えを示した。井上氏は、LCCとしての強みをしっかり打ち出すこととブランディングの2点が他社との差別化のポイントとなるとし、日系初のLCCとして市場に浸透するためには「売りは低運賃」と言及。「海外LCCより魅力的なもの(運賃)を出したい」との意向もある中で、「(海外LCCが)コストフォーカスして挑んでくるなか、コストで負けると勝負が決まる」ため、低コスト体制の構築を重視するとした。特に、単なるコストカットではなく「やりくり、工夫」のコストマネージメントで対応していく考えだ。
低コスト体制構築の一環で、販売はウェブサイトの直販を基本とする。旅行会社経由の販売については「お客様が決めることで、我々は否定しない。セールスチャネルはフレキシブルに対応する」としつつ、「コストのかかる従来のフルサービスキャリアと旅行会社との関係はない。パッケージツアーも考えていない」と話した。ただし、井上氏は国内線、国際線ともに、日本人と外国人の需要の割合を50%ずつと想定しているが、インバウンドについてはウェブサイトの直販を基本としつつ、その国の文化に応じて柔軟に対応していく考えだ。
また、「コストのなかにはわれわれがコントロールできないものもある」として、「その際たるものが着陸料。我々が競争力を持てる取り組みをしてほしい」と強調。「コントロールできるコストとできないコストがシンクロして下がらないと、本当の意味での対抗はできないと思う。そこを求めていきたい」と、低コストの重要性を訴えるとともに今後も関係箇所に要望していく姿勢を示した。
なお、東日本大震災により、特にインバウンドが減少しているが、MMは2012年に関空/仁川線の就航を予定している。この影響について井上氏は、「イベントリスクは航空事業につきもの。過去10年間にも9.11やSARSなどがあり、その流れのものとして考えている」との認識。初年度は難しくても、次年度以降の黒字達成をめざす考えだ。