観光庁、第3次補正予算26.4億円-需要喚起、震災復興支援も
政府は10月21日、第3次補正予算案を閣議決定した。観光関係は26億4500万円となり、このうち国内観光活性化緊急対策事業に6億5000万円、外客誘致緊急対策事業に13億8900万円、広域連携観光復興対策事業(東北観光博)に5億5000万円、地域再生のための観光業支援事業に5700万円を振り分けた。
観光庁長官の溝畑宏氏は同日開催された定例会見で「ゴールデンウィークや夏は思っている以上に回復したが、現状としてはまだまだ厳しい状況」との見方を示し、第3次補正予算で「国内観光の復旧、いち早いインバウンドの回復、特に東北の復興をより強力にすすめていく」考えを示した。
国内観光活性化緊急対策事業では、国内観光需要の確実な回復をはかり、国内旅行促進のための環境整備に1億5000万円、機運醸成のため全国規模で実施する、官民合同の国内旅行振興キャンペーンに2億円、新たな国内旅行需要創出のためのモニターツアー事業に3億円をあてる。環境整備では、企業に対し休暇取得と旅行促進を働きかける「ポジティブ・オフ」運動を推進。国民的な運動として拡大をはかる考えで、来年度予算の要求にも組み込み、継続して取り組んでいく。
外客誘致緊急対策事業では、プロモーションと旅行会社・メディア招へい事業に5億6100万円をあて、訪日外客回復のため、韓国、中国、台湾、アメリカ、香港の5大市場に対し積極的にプロモーションを展開するほか、国際会議などのキャンセル防止事業に2800万円、受入環境整備事業に8億円を振り分ける。受入環境整備事業では、地方自治体をはじめ要望が高かった公共交通機関の利用増進のため言語バリアフリー事業を実施。外客受入戦略拠点・地方拠点計26拠点での取り組みも継続する。
広域連携観光復興対策事業では、観光による被災地復興をはかり、広域エリアでの新たな観光地作りのモデル構築のために、東北地方全体を博覧会場に見立てた「東北観光博」を実施。来年度予算要求にも組み込んでおり、2012年1月から1年間継続して取り組む計画で、まずは冬の閑散期の需要喚起をねらい、2011年に日本スキー発祥100周年を迎えたスキーや冬の祭をアピールしたい考え。ポータルサイトで統一した情報発信をおこない、効果的な集客をはかる。
地域再生のための観光業支援事業では、岩手、宮城、福島の被災3県と風評被害が認められる群馬、栃木、茨城の北関東3県で、観光業が中心となっている地域の再生をめざし、事業再生や観光地域づくりの専門家チームを派遣。現地相談会などを開催し、実践的なアドバイスをするなどバックアップをしていく。