JATA消費者相談室、旅行会社の疑問に回答-
JATA旅博セミナーで
JATA旅博2011では9月30日の業界日セミナーで、「JATA消費者相談室が語る『あなたの悩みにお答えします』」が開催された。日本旅行業協会(JATA)総合企画部消費者相談室室長代行の金子眞一氏が登壇し、旅行会社や業界関係者から事前に寄せられた質問や相談に一問一答形式で回答をした。旅行会社の若手社員やカウンタースタッフから苦情対応担当者などを対象として企画されたものだったが、当日は管理職から観光系の学生まで幅広い層の参加者が集まり、熱心に金子氏の話に耳を傾けた。
取消料トラブルの防止には顧客の理解が不可欠
連絡のタイミングにも注意が必要
長年の傾向として、JATA消費者相談室に寄せられる相談は、取消料に関するものが圧倒的に多いという。特に、高額になりがちな航空券の取消料について金子氏は「ほぼ毎日といっていいほど相談がくる」という。旅行会社がルールに則って手配をしていても、お客様の認識不足でトラブルが発生することが多いため、こうした問題を極力減らすには「契約時に取消料についてお客様にご理解頂く必要がある」という。
実際にトラブルが発生した場合、JATAでは相談者に、旅行会社とのやり取りやインターネット取引など契約の経緯を改めて確認するよう促している。すると、多くの人が自分の認識不足に気づき、納得するという。しかし、契約時に取引について何も説明を受けていないと主張する相談者もいるほか、なかには旅行会社が何も説明していないケースもある。そのため、トラブルの防止策として金子氏は「取消料の説明を具体的に、しつこいくらいにしてもらうことが大事。最低でも契約書面は交付すること」と呼びかけた。
このほか、取消料については「営業日でない日に取消連絡があった場合、取消料の起算日はいつになるか?根拠となる法令は?」という相談が取り上げられた。
金子氏によると、取消料の適用日は旅行業約款にはその定めはないが、民法第142条に照らして考えると、「旅行者が旅行会社の休業日に取消の連絡をした場合、いつの時点の取消料規定の適用になるかは取消連絡をした日の取消料規定を翌営業日にも適用することになる」という。つまり、旅行者が解約を決めた日が偶然にも会社の休業日で、それを伝える手段がなかった場合には、これが適用されることになる。ただし、実際に解約を決めたのが休業日か営業日だったか否かの根拠を会社側が見出すことは難しいため、会社側が譲歩するケースが多い。
また、取消の申し出と取消料については台風などでツアー催行が危ぶまれる状況の際、旅行会社のツアー中止決定前、あるいは中止連絡の前にトラブルが起こりやすいという。原則としては、これらのタイミングで旅行者から取消の申し出があった場合には取消料の対象となるが、「これに関しては高度の会社判断が加わってくるケースが多い。安易に判断を進めず、取消の取り扱いは会社のしかるべき部署と連絡を取り合って進めてもらいたい」と注意を促した。