フィンエアー、アジア線倍増へ-ジョイントベンチャーも意欲
アジア/欧州間の需要をヘルシンキでつなぐ戦略で成長を続けるフィンエアー(AY)。このほどヘルシンキで開催したプレスカンファレンスで、AYのCEOを務めるミカ・ベフビライネン氏は「アジアなくしてAYは存続し得ない」と語り、日本市場を含めてアジア戦略を維持、強化する方針を強調した。全日空(LH)とルフトハンザ・ドイツ航空(LH)がジョイントベンチャー(共同事業)の開始を予定するなど競争環境が変化するなか、AYがどのような成長の青写真を描くのか。プレスカンファレンスでの取材を中心に伝える。(取材:本誌 松本裕一)
▽順調に進むアジア戦略
ベフビライネン氏によると、アジア/欧州間を空路で移動する人数は年間3000万人。このうち1500万人はハブ空港からハブ空港への直行便を利用しており、「この市場は我々のターゲットではない」という。その理由は、「我々がよほど割安な運賃を提供しない限り、旅客は直行便の代わりにヘルシンキ経由を選ぶことはない」ためだ。
その代わり、AYはヘルシンキが地理的にアジア/欧州の中間に位置するメリットを生かし、残りの1500万人、つまりアジア/欧州間を移動するのに最低1回はどこかで乗り換えなければならない旅客の取り込みをはかる。
ある程度の規模でありながら、直行便を就航しにくい都市――「例えばマンチェスター、シュトゥットガルト、ハンブルク、ヨーテボリ」に移動する際、「どこかの大規模で移動の不便な空港で乗り換えるか、小さく利便性の高い空港で乗り換え、全体の移動時間を数時間短縮するか。それ(を消費者に訴えるの)が我々の戦略」という。つまり、アジア/欧州のそれぞれに存在する一定規模の都市間の移動需要を、ヘルシンキで一度「束ね」ようとする。
この戦略により、AYは成長を遂げた。現在のアジア路線の便数は週74便。AY全体の収益のうち、実に60%から65%がアジア市場からもたらされている。AYでは、このアジア市場の収益を2020年までに倍増する目標を掲げている。