ANA楽パック、国内好調、海外も計画3倍-「新たな価値」にも意欲
楽天と全日空(NH)が共同出資する楽天ANAトラベルオンラインは、2010年の「ANA楽パック」の国内旅行取扱高が目標としていた約200億円に達した。同社代表取締役社長の中掘公博氏によると、2006年10月のサービス開始以降、5年間で取扱高200億円を目標とし、2008年は前年比57%増、2009年は69%増、2010年は51%増と順調に推移した。
中掘氏は、こうした結果を受け「国内のダイナミックパッケージ(DP)のマーケットは今後も間違いなく拡大傾向にある」とし、「今後は前年比プラス30%以上(ANA楽パックを)成長させ、旅行のウェブ商品の中でのプレゼンスを高めていきたい」と新たな目標を示した。
ただし、この達成に向けた外部環境としては、国内旅行市場は市場の開拓が進んでおり「大きな成長は期待できない」とし、さらに総合旅行会社もウェブ商品を強化していることから、DP市場の競争はすます激化すると分析。こうした中で、航空機を使用する長距離の旅行については、比較的需要の伸びしろがあるとの考えを示した。
今後は需給バランスに連動した品揃えや価格競争力のある商品の造成、他社に先駆けた新たなDPの価値を創造することで、ANA楽パックの競争力の維持向上をはかる考え。なかでも需要の少ない地域の商品については、「価格面で踏み込めるのではないか」との考えだ。
一方、楽天トラベルが2010年12月に開始した海外版ANA楽パックでも、取扱高が当初計画の約3倍で推移。当初は9都市11路線が対象だったが、2011年3月からNH就航の全路線に対象を広げており、2011年10月1日出発分からは、NHと共同事業を展開しているユナイテッド航空(UA)、コンチネンタル航空(CO)の運航便の販売も開始した。現在は韓国を主体にハワイや中国、香港、台湾などアジア中心の販売となっているという。
なお、2011年も東日本大震災の影響もあったが、堅調に推移しているところ。国内ANA楽パックの2011年9月までの累計取扱高を2007年の通年実績と比較すると、1人以上の利用が7倍、2人以上が8倍、3人以上が9倍に増加。なかでも3人以上の子供連れが約10倍と高い伸びを示している。中掘氏は「出張需要は確保しつつも、当初の目的通りプレジャー需要の掘り起こしができている」と評価した。