観光庁、概算要求は8%増110億円、復興に向け東北「博覧会」も

  • 2011年10月2日

 国土交通省は2012年度予算の概算要求で、観光関係予算を前年比8.3%増の109億9100万円とした。国交省全体として、東日本大震災からの復興や防災対策の強化を推進しつつ、観光立国を含む成長戦略の推進などに重点を置いてメリハリのある要求内容としたという。

 観光関係予算は、「訪日外国人3000万人プログラム第1期」「観光を核とした地域の再生・活性化」「観光人材の育成」「ワークライフバランスの実現に資する休暇改革の推進」「観光統計の整備」「その他(経常事務費等)」として106億5700万円を盛り込んだほか、震災からの「復旧・復興枠」として、災害時における訪日外国人旅行者に向けた情報提供のあり方に関する調査など3億3400万円を加えた。

 このうち、「訪日外国人3000万人プログラム」では、2.0%増となる88億900万円を要求。通常のビジット・ジャパン事業は26.0%減の50億8800万円とするなど、既存事業の予算は削減。一方、「日中国交正常化40周年に合わせた青少年招請事業」や、全世界から1万人の外国人を招待し、SNSなどを通じて訪日旅行の安心感や安全性を発信するとともに、応募者への訪日イメージ調査を実施する「Fly to Japan!事業」、MICE誘致における国際競争力強化を目的とした「国立京都国際会館の整備・運営に係るPFI事業手法調査」を新たに盛り込んだ。

 また、「観光を核とした地域の再生・活性化」は19.3%減の3億8100万円で、「ユニバーサルツーリズム促進事業」を追加。「観光人材の育成」は30.8%減の1億5300万円とし、「ワークライフバランスの実現に資する休暇改革の推進」は国内旅行活性化のための環境整備事業を追加し125.6%増の1億8500万円、「観光統計の整備」は77.9%増の8億4500万円とした。統計の予算額の大幅増は、観光産業の規模や波及効果、観光の重要性をデータとして把握できるよう「観光地域経済調査」を本格的に開始するため。

 「復旧・復興枠」では3億3400万円を要求。内訳は「災害時における訪日外国人旅行者に向けた情報提供のあり方に関する調査事業」が3000万円、「観光地域づくりプラットフォーム支援事業(被災地分)」が5400万円、「広域連携観光復興対策事業」が2億5000万円。

 このうち、要求額の多い広域連携観光復興対策事業は、東北地方への需要回復と新たな観光地づくりのモデル構築をはかるため、東北全体を観光の「博覧会」の会場と見立てて、地域や民間の様々な取り組みを連携し、さらに統一的な情報発信をおこなうもの。東北の30カ所程度の地域を「ゾーン」とし、地域や民間が博覧会の一環として「地域観光案内人」の配置や参加型コンテンツの提供、モデルルートの提案、イベントの開催などに取り組み、政府は各ゾーンの統一性の確保や、博覧会全体に関する情報発信などを担う。

 なお、観光庁以外では、首都圏空港の強化に118億円を要求。成田と羽田の2空港の強化と「徹底したオープンスカイ」の推進のため、首都圏空港の容量拡大に必要な事業を実施する。