JATA、訪日商品を共同企画-FITの取り込み強化

  • 2011年9月27日

JATA国内旅行業務部部長の興津泰則氏 日本旅行業協会(JATA)は共同企画商品として、10月以降のFIT向けの訪日旅行商品を設定し、販売を開始した。9月27日の商品説明会で、JATA国内旅行業務部部長の興津泰則氏は「業界全体で取り組めることについては一体となって取り組み、何とかインバウンドの世界でシェアを上げる努力をJATAとしてやっていきたい」と意欲を示した。JATA会員各社に販売を呼びかけるとともに、中華人民共和国訪日団体観光客受入旅行会社連絡協議会(中連協)の会員会社にも商品をアピールしていく。

 JATAでは2010年から中国、台湾、香港などの中国語圏と、欧米、オーストラリア、アジアの英語圏を対象に、共同企画商品を設定。昨年は北海道や九州、沖縄など長距離の周遊型商品を造成したが、JATA需要拡大創出チーム副座長の稲田雅彦氏によると「昨年は正直あまり成果が出なかった」という。こうした状況を踏まえ、今年はFITの取り込み強化をめざしてツアーの催行人員を2名からとし、東京と大阪での自由行動中に組み込みやすいよう着地型の日帰りツアーを設定した。

JATA需要拡大創出チーム副座長の稲田雅彦氏 ツアーの設定期間は2011年10月から2012年4月まで。ウォーキングツアーや寿司作り体験、美容院での日本のヘアスタイル体験など、8本のツアーを用意し、観光ツアーはすべて通訳案内士の資格を有するガイドが案内する。主催はJTBグローバル・マーケティング&トラベル(JTBGMT)とジャパングレーラインが担当し、販売会社へのコミッションは15%とした。

 JATAでは販売促進策として、英語、中国繁体字、簡体字で商品を紹介する企画書やウェブコンテンツ、ツアー内容を紹介する動画などの販促ツールを作成し、販売会社に提供する。また、共同企画商品をJATAのウェブサイトで告知し、会員への周知徹底をはかるほか、日本政府観光局(JNTO)のウェブサイトからのリンクや、ビジット・ジャパン(VJ)事業と連携した宣伝も実施する計画だ。

 なお、興津氏は、訪日需要が東日本大震災の影響で落ち込んでいる中で、今回の商品によって国慶節や春節の需要取り込みをはかり、回復後伸びが期待される2012年度への「助走」としたい考え。現状としては、「回復が遅い。来年の春節まで中国は(回復が)難しいのでは」との分析だが、FITについては個人ビザの緩和が奏功し、「少しずつ戻ってきている」という。