アクセスランキング、1位はTG新会社、2位はスカイマーク

  • 2011年9月16日

[総評] 今週は、タイ国際航空(TG)が「light-premium」をコンセプトに新会社「タイ・スマイル航空」を立ち上げる内容の記事が1位になりました。twitterを見ているとまず名前に賛否両論ありそうですが、それ以上に興味深いのはコンセプトです。記事では堅苦しく「準プレミアム」と訳しましたけれども、簡単にいえば、フルサービスキャリア(FSC)とローコストキャリア(LCC)の中間の航空会社をめざそうということです。詳細は明らかにされていませんが、スターフライヤー(7G)のようなイメージでしょうか。あるいは、ブティックホテルのようなブランディングを進めるのかもしれません。

 当欄では、かねてFSCとLCCのハイブリッド化が進んでいると指摘してきました。FSCは追加料金と引き換えに足元の広い座席の指定を受け付けたり、より内容を充実した機内食を別売りしたりしていますし、一方のLCCは機内で横になって休めるプレミアムクラスを導入したり、インターラインに手を出したりする航空会社もあります。今回のTGの決定は、TG便でLCC的な収益向上策を始めるわけではありませんので、この文脈からはやや外れますが、マクロで見ればFSC側のLCC的アプローチであるとはいえます。

 このケースで難しいのは、ブランドの位置づけでしょう。FSCであるTGと同じか、それに近いサービスやプロダクトを安く提供しまってはまったく意味がありませんし、かといって安かろう悪かろうのバランスを見誤れば、すぐにLCCとの差別化ができなくなってしまいます。日本航空(JL)や全日空(NH)がLCC設立を急いでいますが、もしかするとTGの試みはLCC以上に難しいものになるかもしれません。

 LCCと言えば、2位に入ったスカイマーク(BC)の動きも気になるところです。成田就航時の西久保愼一社長の「BCが考える国内LCCの最終型」をめざすという言葉やインパクトのある運賃、A380型機の発注、デルタ航空(DL)との関係強化など、なかなか目が離せません。特に運賃は、例えば関空発着の札幌線と那覇線は780円からで、1便あたりの座席は限られているとはいえ、眼を見張るものがあります。

 エア・アジア(AK)CEOのトニー・フェルナンデス氏は、東南アジアでは飛行時間1時間あたりの運賃が30ドルと話されていましたが、JLやNHのLCCを含めて本格的にこんな運賃が流通しはじめた時、日本の旅行市場にどのような変化が起きるか、想像することすら容易ではありません。とはいえ、想像できなくてもその時は目前に迫ってきていますから、トラベルビジョンでも取材によって様々な可能性を検証し、お伝えしていきたいと考えています。

 なお、9位の記事などで海外旅行の復調をお伝えしていますが、今週出張で訪れたヘルシンキでも、ツアー客からFITまで老若男女、驚くほど多くの日本人旅行者の方をお見かけしました。たまたまかもしれませんが、少なくともこれまでの3回の訪問では最多だったと思います。是非ともこの勢いが持続し、さらに加速して、下期と来年の伸びにつながってほしいと願っています。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2011年9月第3週:9月10日0時~9月16日18時)
第1位
TG、「タイ・スマイル航空」設立へ、“準プレミアム”を標榜(11/09/10)

第2位
スカイマークが関空就航、那覇まで「780円」-成田も増便(11/09/12)

第3位
ハワイアン航空、4月に福岡線を開設-年間10万席増加(11/09/13)

第4位
HIS、第3四半期は増収増益、営業利益は113.4%増(11/09/10)

第5位
トップインタビュー:AZアジア太平洋統括副社長のジャンルカ・テスタ氏(11/09/12)

第6位
カンタス航空、B747にA380のプロダクト、内装刷新へ(11/09/13)

第7位
日本/カナダ航空協議開催へ、成田自由化と以遠権焦点に(11/09/10)

第8位
フィンエアー、JL/BAの共同事業参画に意欲、アジア線さらに拡大へ(11/09/15)

第9位
海外・国内旅行、大幅回復で全方面上昇-海外はアジアと韓国好調、JATA調査(11/09/14)

第10位
震災後の訪日外客、総消費額が46%減-ツアー、航空代金も下落 (11/09/13)