11年1月から8月累計の宿泊業倒産件数、63.4%増の103件-震災関連は25件
東京商工リサーチ(TSR)によると、2011年1月から8月までの旅館やホテルなどの宿泊業の倒産は、前年比63.4%増の103件と増加した。とくに東日本大震災の影響が大きく、震災発生前の2011年1月から3月は3.5%増だったが、震災後の4月から8月は111.4%増と急増した。すでに8月時点で昨年と件数が並んでおり、9月は15日時点でさらに3件倒産したことから、このままのペースが続けば、2001年以降で最多だった2008年の145件に近い件数まで迫るとの見通しだ。
都道府県別では、全国9地区のうち7地区で前年を上回り、九州が175.0%増の11件、ついで関東が150.0%増の20件、北海道と北陸がそれぞれ75.0%増の7件、中部が68.7%増の27件、中国が66.6%増の10件、東北が57.1%増の11件となった。これに対し、四国は50.0%減の1件、近畿は25.0%減の9件と減少した。都道府県別では長野の12件が最多で、北海道7件、東北と静岡が各6件、福島、石川、兵庫が各5件となった。
負債額は、負債10億円以上の大型倒産が109.0%増の23件と増加したことで、負債総額が96.2%増の860億2000万円となった。形態別では、破産が65.0%増の66件、特別清算が166.6%増の16件で、消滅型の法的倒産が全体の79.6%を占めた。なお、再建型の民事再生法は8件にとどまった。
TSRによると、宿泊業の倒産数増加は、長引く個人消費の低迷やデフレで売上減と収益悪化が続いていたなか、震災の発生による旅行自粛や原発事故問題などによる宿泊客の減少、訪日外国人観光客の急激な減少が要因としてあげられるという。現在は倒産件数の増加はゆるやかになってきているものの、今後も引き続き震災関連倒産は続く見通し。震災前の水準まで回復するには、しばらく時間がかかるとの考えだ。
震災の直接被害や、自粛による予約キャンセルなどによる「震災関連」倒産は3月から8月で25件発生しており、内訳は3月が0件、4月が4件、5月が8件、6月が7件、7月が5件、8月が1件となった。都道府県別では、長野4件、福島3件、愛知、新潟、山形が各2件などで、計17県で発生した。なお、9月は15日現在ですでに2件発生しているという。