「勝負画像」が海外旅行を決める-エイビーロード海外旅行セミナー

  • 2011年8月23日

デスティネーションの数に比べて旅行に行く機会は少ない。選ばれるには強烈なアピールが必要  各種調査で、海外旅行で「行ってみたい場所」と「実際に行く場所」が一致しないことが多々ある。休日や予算などの制約で希望が実現しないということもあるが、それより「国内旅行と違って頻度の少ない海外旅行は、選ばれるための明確なアプローチをしなければならない」と、エイビーロード・リサーチ・センターのセンター長である稲垣昌宏氏はいう。そのために稲垣氏が指摘するのが、「地域ブランドを代表する画像」の重要性だ。稲垣氏はマレーシア政府観光局の協力を得て、海外旅行のプロモーションにおける画像の影響を調査しており、先ごろ実施した海外旅行セミナー2011でその結果を発表した。各観光局や国内観光地はもちろん、旅行会社にとってもヒントになる内容が含まれている。


6割は年に1回の海外旅行
強い憧れを抱かせる画像の力が重要

エイビーロード・リサーチ・センターセンター長の稲垣昌宏氏  稲垣氏によると、消費者の旅行先選びは3段階に分かれている。第1段階は旅行に行こうと思う「想起」。この段階では、ヨーロッパもハワイも、国内の沖縄も同列に上がってくる。ただし旅行先に選ばれるには、まずこの段階で候補にあがる程度にブランディングされていることが前提となる。

 第2段階はどこにするかを考える「検討前期」。ここで、予算や休日の日数、さらには同行者の旅行経験や希望といった制約条件との折り合いで、3ヶ所くらいに絞り込まれる。そのため、「制約条件となりやすい旅行に必要な日数や価格の相場、アクセス情報が正しく知られていること」が重要だと、稲垣氏は指摘する。

 第3段階は決定する「検討後期」。ある程度選択したなかから1番行きたいところを選ぶ。強い憧れや、今ここに行くといいことがあるという旬な情報、以前に行って良かった場所などが決め手となる。

 稲垣氏は「いずれにしても、強く醸成されたモチベーションがなければ、各ステージで勝ち抜けない」と指摘。同社のエイビーロード海外旅行調査2011で海外旅行の経験者の65%が年に1回しか海外旅行に行っていないことを引き合いに出し、「その1回に選ばれるためには、旅行者が今、一番行きたいところに近いところでないと、選ばれない。まさにオリンピックやワールドカップの招致活動と同じくらいの熾烈さ」とも例える。以上のことから、海外旅行先として選ばれるためには、「強い憧れを抱かせる画像の力が重要。地域ブランドを代表する画像を決めて、それとともに集中的に『認知』『旅行喚起』『アクセス知識』を醸成することが重要」だと説く。