トップインタビュー:ミキ・ツーリスト代表取締役社長 檀原徹典氏

  • 2011年8月22日

世界を見据えたメッシュ型ビジネスを推進、専門性や提案力、企画力を向上へ

-環境の変化の中で、オペレーター間の競争も激しくなっていくと思われますが、今後の展望はいかがでしょうか

檀原 まずバスやホテルの仕入れが課題になってくる。特にホテルは、昔であれば閑散期の稼働率が30%というホテルも普通にあったが、今はどこもイールドマネージメントに厳しくなっている。同時に、ホテルの直販も増えている。パリのオペラ座界隈のホテルでは、全客室の約8割程度まで自分たちで直販できる力を持っている。

 つまり、旅行会社がホテルを選ぶ時代から、ホテルがつきあう相手を選ぶ時代になってきたということ。昔は、我々の交渉相手はグループ担当マネージャーだったが、今はイールドコントローラーが大きな権限を持ち、部屋が空いていても出さないような現状が多々ある。どうやってホテルを確保していくのかが大きな課題だ。

 今後、グループとFITは別のビジネスとしてやっていく必要があるだろう。FITはリードタイムを短くしていくことが大切だ。一方、グループは、分が悪くなってきているのが現状。日本の旅行業界は部屋を好きなだけ取って、好きなだけ返し、サプライヤーに対して何のコミットメントもしていない。それでは日本市場の地位を低下させるだけだ。もっと、グローバルスタンダードを考えるべきだと思う。


-オペレーターとしての将来的なビジョンをお聞かせください

檀原 まず、我々のネットワークを再構築する必要がある。業務の標準化によって、組織としての強みを出していく。また、人件費の高いヨーロッパに、現地で予約などの業務のためだけに人を配置していて良いのかという課題もある。そういった業務は、すでにマレーシアにシェアードサービスセンターを立ち上げてある程度移管しているが、できればすべて集約し、現地のリソースはサプライヤーとの折衝や情報の入手、お客様との接点に使っていきたい。

 また、「装置」として弊社の現地リソースを使ってもらう可能性もある。つまり、弊社ではGoogle Appsを使ってクラウドベースの情報管理システムを構築しているところだが、外部の人間でもGmailアカウントを持っていれば、こちらが許可をすると我々の情報にアクセスすることが可能になる。お客様が弊社のシステム上で日程を編集すると見積もりが表示されるようなことも可能だろう。バウチャーや日程を好きな時に印刷できたり、あるいは手配状況を確認できるようにしたり、「開放する」チャンスともいえる。

 また、Skypeなどを使えば、提携先の人間がミキのネットワークを直接使える状況も出てくるのではないか。そうなれば、担当営業を通さなくても、現地と直接コミュニケーションをとることも可能になる。