トップインタビュー:ミキ・ツーリスト代表取締役社長 檀原徹典氏
世界を見据えたメッシュ型ビジネスを推進、専門性や提案力、企画力を向上へ
今年7月1日付でミキ・ツーリスト代表取締役社長に就任した檀原徹典氏。「日本市場だけではもはや限界」として、アジアを成長の基盤とするメッシュ型ビジネスへの転換をはかる。業界の環境が変化し、競争がますます激化するなか、長い海外経験を持つ檀原氏への期待は大きい。ヨーロッパを主軸に展開してきたオペレーターとして、今後どういった舵取りをしていくのか。市場の現状とともに今後の展望について話を聞いた。
-まず、これまでの経歴を教えてください
檀原徹典氏(以下、敬称略) 1987年に入社し、翌年11月にマドリッドに赴任。1997年8月から2003年12月まではロンドンだ。2000年には全社の手配システムを見直す業務改善プロジェクトでプロジェクトリーダーを務め、基幹システムの改善にほぼ一年間携わった。ヨーロッパ25拠点の業務を一から見直し、手配業務を標準化したのは大きな経験だったと思う。
その後、スペイン支店長と弊社の持ち株会社「GMコミュニケーションズ(GMC)」の役員を兼務し、次世代マネジメントの構築作業にも加わったほか、2008年には再びロンドンに移り、ヨーロッパ全体を見ることになった。
9.11以降、量販、価格訴求に拍車がかかり、一層競争が激しくなったが、それに合わせてオペレーターの役割も変わり、より細かい提案が必要になっている。ランド料金から何ができるかを受注時に考えなければ、もはやマーケットについていけなくなってきた。海外で学んだことの一つは、マーケットプライスを意識しながら仕入れをすること。もうひとつは、現地での顧客とのつながり。やはり人と人とのつながりは大きいと思う。
-旅行市場の現状をどう見ていますか
檀原 現状は、メディアを中心としたシリーズものとFITが業界を引っ張っているが、FITは今後ますます増えていくだろう。直接サプライヤーと取引する流れのなかで旅行会社の価値をどう高めていくか。もう一度原点に立ち戻る時期ではないのかと思う。コンサルティングのスペシャリストとして、そのノウハウを売っていかなければ生き残れないのではないか。また、少子化、高齢化のなかではマーケットは大きくはならない。一番危惧しているのは、若年層や30代、40代の年齢層がマーケットに入ってきていないことだ。
一方、航空会社の動向も気がかりだ。外航の目が日本よりも中国や韓国に向いているなかで、日本発着定期便の供給座席数が減っていくのではないかと懸念している。LCCは出てくるだろうが、そうなればますますFIT化が進み、グループにとっては厳しくなるだろう。ここ5、6年でマーケットは大きく変わるのではないか。その準備を今からしていかなければならない。
日本市場については、着地型のツアーを視野に入れなければならない。航空券を単純往復で買って現地で動く場合、現地発着のパッケージツアーが求められるケースは多い。我々は、現地で「みゅうバス」といった商品を提供しているが、そのニーズをもっと突き詰め、BtoBtoCやBtoCも視野に入れておく必要がある。