ジェットスター・ジャパン、JLとすみ分け、新需要創出へ-成田と関空拠点に
日本航空(JL)、カンタスグループ、三菱商事は8月16日、3社の共同出資で設立する新LCC「ジェットスター・ジャパン」について記者会見を開催し、今後の戦略や路線展開について発表した。新会社は9月に設立予定で、2012年中には成田、関空を拠点に国内線の運航を開始する予定だ。会見ではジェットスターグループCEOのブルース・ブキャナン氏が「今まで旅行しなかった消費者の、新たな需要を喚起することが成功の鍵」との考えを示し、新規需要の開拓による市場の拡大に意欲を見せた。同氏によると、日本のLCC市場はまだ発展途上であることから、今後大きな成長が見込めるとの考え。2、3年後には1000億円規模の売上を予想する。
また、JL代表取締役社長の大西賢氏もLCC参画について「数年の間に予定されている首都圏空港の発着枠拡大やオープンスカイの流れを踏まえ、事業の多様化や拡大をはかる絶好の機会」と話した。低価格でスタンダードなサービスを要望する消費者にはLCCで対応し、高品質なサービスを求める消費者にはJL、というようにすみ分けをはかる考えだ。ブキャナン氏も、既存顧客の奪い合いではなく「一部市場が重複しても、どちらかを選ぶのは消費者次第。JLとジェットスター・ジャパンにとって賢明な意思決定をしていく」と話した。
2011年に入り、全日空(NH)の共同出資会社がピーチ・アビエーションを設立し、NHもエアアジア・グループと共同でエアアジア・ジャパンを設立。国内大手航空会社によるLCC設立は今回で3社目となる。JLの大西氏はNHの動きに対し「出遅れたという認識はない。1年以上もJQと協議を重ね、十分練りに練ってこの場にのぞんでいる」とし、「これから我々が結果を出していくことを見せることが、皆様への回答になるだろう」と自信を見せた。
路線計画についてブキャナン氏は検討中としながらも、成田と関空を拠点に札幌や福岡や沖縄などに就航したい考えだ。国際線も中国や東南アジア、フィリピン、韓国などのアジア主要都市を中心に、4、5時間の近距離路線を運航する計画だ。
運賃は、平均で既存の運賃に比べ40%程度安い運賃を提供する。また、他社よりも安い運賃を提供する最低価格保証「プライス・ビート・ギャランティ」を適用する考えだ。航空券の販売については、電話やオンラインだけでなく、コンビニエンスストアや旅行会社経由など多様な流通経路で展開する。