ANA/エアアジアのLCC、「最安運賃」で勝負
-16年には30機体制に

  • 2011年7月22日
(左から)NH伊東信一郎氏、AKトニー・フェルナンデス氏

 全日空(NH)代表取締役社長の伊東信一郎氏とエアアジア(AK)CEOのトニー・フェルナンデス氏は7月21日に記者会見を開催し、共同で設立する予定の新LCC「エアアジア・ジャパン」の成功に自信を示した。新会社は、成田空港を拠点として2012年8月から国内線と国際線を運航する計画。低価格を武器とし、新規の航空需要開拓をめざす。

 伊東氏によると、すでに出資しているピーチ・アビエーションが関西市場をターゲットとしているのに対し、エアアジア・ジャパンは東京や関東圏の需要取り込みをめざす。AKとの提携を選択した理由は、首都圏空港の国際線発着枠が39万回に拡大する2015年に向け、航空自由化の進展やLCCを含む外航の進出など競争の激化が予想される中、早急に立ち上げる必要があったといい、AKのノウハウやブランドの活用を選択したという。

 運賃については、NHなど既存航空会社の「半分なり3分の1なり」を目標にすると明言。また、フェルナンデス氏も「成功のカギは低運賃。最も安い運賃を提供するエアラインでありたい」と強調。そして、「東南アジアでの1時間あたりの運賃は30ドル。日本でもこれ以上になるとは思わない。日本のタクシー料金よりも安くできる」とアピールした。

 就航路線は未定だが、機材は短距離から中距離用を揃える。2016年には30機以上の航空機を運航する体制をめざすといい、「その時点で飛べる路線数はかなりのもの」になるという。NHとの競合については、「新たな需要開拓がLCCの最大の命題」とし、「現時点では大きく影響は受けないのではないかと思っている」と語った。

 フェルナンデス氏も、AKのビジネスを始めた初年度の旅客数が20万人であったところが、現在は3000万人を大きく超える規模になったことに触れ、LCCの需要開拓能力を指摘。LCCの立場から見て日本市場は「非常に大きな市場」であり、ピーチなど多数のLCCとの競合が予想される中でも共存できる余地があるとした。

 なお、AKはエアアジアX(D7)で羽田に就航しているが、フェルナンデス氏は「エアアジア・ジャパンが成田を拠点とするのに、エアアジアがそこに飛ばないのはおかしい」とし、「近い将来、羽田と成田両方に路線を飛ばそうと話をしている」ところと語った。