オーストリア、12年はクリムトイヤー-視察旅行の新提案も、団体セミナーで
オーストリア政府観光局は7月7日、都内で旅行業界の営業担当向けに団体旅行向けのトラベルセミナーを開催した。オーストリア政府観光局マーケティングマネージャーの神田博夫氏は、「オーストリア団体旅行セールスマニュアル2011」を活用し、団体旅行のアイディアを紹介。なかでも、2012年が芸術家のグスタフ・クリムト生誕150周年を記念した「クリムト・イヤー2012」であることから、ベルヴェデーレ宮殿の「接吻」をはじめとしたクリムトの作品鑑賞をツアーに組み込むことを提案した。
神田氏は業務視察旅行のテーマとして、「営業マンが攻めの営業をするには、いま話題での、一番関心があるものを持っていくこと」と述べ、東日本大震災の影響で電力確保に注目が集まるなか、再生可能エネルギーとして昔の薪燃料にあたる木質バイオマス・エネルギーの導入事例を紹介。小中規模の施設で実施できるため小さな村や町レベルで導入可能とし、森林資源を有した日本での導入も期待できるという。視察旅行の素材としては、導入した村の見学やウィーンの発電所見学ツアーをアピールした。
さらに、教育旅行の素材にも活用できるものとして、建設したものの運転前に廃止したため、一度も稼働していない「世界一安全な原子力発電所」ツベンテンドルフ原子力発電所をあげた。福島原発事故の影響で注目が高まり、来年まで予約が込み合っているという。
オーストリア政府観光局によると、2011年1月から4月の日本人訪問者数は累計で前年比7.3%増の4万7864人。3月は震災の影響で6.9%減の1万3735人となったが、4月は前年のアイスランドの火山噴火の反動もあり、7.0%増の1万3534人となった。なかでも、全体の総数は少ないながらもチロル地方が102.9%増の771人と大幅に増加したという。チロル地方での夏の長期滞在商品を設定した旅行会社の販売も好調なことから、神田氏は企業の夏休みの長期化をうけたロングステイ商品として、チロル地方を提案した。