HISとANAセ、夏の海外はアジアが牽引、長めの滞在も-クラツーは欧米が好調

  • 2011年7月6日

 トラベルビジョンの調査やジェイティービー(JTB)の発表などにより、夏の海外旅行で「安・近・長」の傾向が明らかになってきているが、エイチ・アイ・エス(HIS)とANAセールスでも同様の傾向が見られた。

 HISが実施した2011年夏休み(7月16日~9月30日)海外旅行予約動向調査では、今年の傾向として、円高の影響で添乗員同行ツアーやヨーロッパなど長距離方面のファミリー旅行も人気であるものの、近場のアジアで“ちょい長”滞在する旅行が増えており、人気渡航先シティ編の上位10位以内ではアジアが過半数を占めている。

 HISによると、7、8、9月はいずれも前年を上回って推移しており、3ヶ月あわせて前年比9%増と好調だ。中部を含めた西日本が2桁増で推移し全体を牽引した。今年は節電対策や長期休暇傾向などにあわせ、延泊代金割安プランや同料金プランを設定。アジアを中心に1日、2日滞在を伸ばす商品や、ハワイ10日間や通常5、6日間のバリ島も10日から20日間まで同料金にするリゾートでの長期滞在商品も順調に伸びている。

 近場アジアで“ちょい長”滞在する需要は、昨年10月の羽田国際化の影響もあり、実際に1日当たりの本数が倍増したソウル線でも50%増で前年を上回る予約状況だという。6月半ば実施した販促セールも好調で、今後、企業のボーナスや夏休みが確定した人の間際需要にも期待する。

 なお、HIS調査は7月16日から9月30日までの期間で、HISの海外ツアーと海外航空券を対象に実施。人気渡航先のビーチリゾート編では、1位がホノルル、2位がグアム、3位がバリ島となり、シティ編では1位がソウル、2位がバンコク、3位が台北であった。

 また、ANAセールスでは海外ロングステイ商品は設定していないものの、同料金で1泊延泊できる商品などの予約も入っており、ファミリー層を中心にアジアやハワイが人気だ。ハワイは羽田線就航による供給量の増加と円高の追い風を受け、アジアは燃油サーチャージが上昇した分、ランド費用などを抑え価格訴求力を高めた第2ブランド「旅ドキ」が好調。

 特に、旅ドキの巻頭ページにファミリーに訴求する商品を打ち出すなどこれまでにはない工夫をしたことで、ファミリー需要の取り込みにつながったと見ている。7月、8月、9月はそれぞれ前年を2桁増で上回っており、3ヶ月で30%増と大幅に増加した。

 一方、第1ブランド「ANA’sヨーロッパ」の添乗員付きプランなど、高品質の商品も予約は入ってきており、取扱額でみても、7月から9月まで前年2桁増と好調だ。また、各地から出発空港までの国内線乗り継ぎ料金を1000円または7000円に設定したことで地方客の需要も取り込めたという。

 なお、クラブツーリズムでは強みとするヨーロッパだけでなくアメリカなど長距離方面が堅調。燃油サーチャージ高騰による影響は懸念があるものの、主要顧客であるシニア層が夏休みの分散化や長期休暇などの影響を受けにくいため、夏の海外旅行需要は前年並み、もしくは前年を超えて伸びているという。今後は、間際化している予約を新聞出稿やウェブ販売と連携することで取り込んでいく考えだ。