アクセスランキング、1位は観光白書
-「New Normal」に備えを
[総評] 今週は、2011年度版の観光白書についての記事が1位になりました。行政関係の記事がトップに来ることは珍しく、今回も要因を測りかねていますが、白書をめくっていると、3月11日を境とした変化に改めて気付かされます。日本旅行業協会(JATA)会長の金井耿氏も16日に話されていましたが、3月11日を迎えるまで、旅行業界にとっての2010年度はそれなりに順調な1年でした。今振り返ってみると、たった数ヶ月前ながら隔世の感があります。
海外、国内、訪日のすべてで需要が前年を大きく下回るなど、旅行業界への影響は今更指摘するまでもありませんが、そもそも旅行業界どころか日本全体にとって未曽有の危機であり、おそらく日本人のメンタリティ自体も様変わりしているでしょう。
例えば、「電気」というものに対する意識ひとつを取ってみても、節電などを経験した今、震災前と同じ状態に戻る可能性は少なくとも短期的にはないでしょう。また、報道などに接していると、原子力発電に対する考え方も変化しているようです。私の周りでも、「こんな目にあうなら、多少不便でも原発などいらない」といった声が圧倒的です。「喉元過ぎれば熱さ忘れる」という言葉がありますが、多くの人にとってそう簡単に忘れられるような「熱さ」ではなかったはずです。
以前、アマデウス・アジア・パシフィック・プレジデントのデービッド・ブレット氏は、「New Normal」という表現を使ってリーマンショック前後の市場特性の変化を説明されました(リンク)が、これからの日本社会でもまさに「New Normal」が顕在化していくはずです。
この仮定が正しいとすれば、今後の旅行業界において最も重要となるのは、いち早く「New Normal」を見出すことです。13日に掲載した夏の関西発ルックJTBの販売状況の記事(リンク)では、ハネムーンやウェディング、家族旅行など「人との絆」を感じさせるような旅行の人気が高い傾向にあるとお伝えしました。これが「New Normal」であるかどうかはわかりませんが、こうした変化や兆候を敏感に感じ取り、帰納的に一般性を探っていくことが重要になります。
もしかすると、見出した「New Normal」はこれまでのビジネスモデルと相容れないものかもしれません。しかし、こういった議論は異性とのお付き合いと似ているとよく思うのですが、自分のやり方に相手が合わなくなったとすれば、選択肢は「相手を変える」「相手を替える」「相手に合わせる」「付き合わない」の4つです。相手を変えたり替えたりできれば問題ありませんが、マーケットとのお付き合いとなるとなかなかそうもいかないのではないかと思います。
なお、今週の2位は、JATAが国土交通省航空局に対して燃油サーチャージの廃止を訴えた記事でした。こちらは是が非でも「相手を変えて」ほしいところです。この記事がtwitterで何件かつぶやかれていますが、廃止を求める声ばかりです。個人的にも、燃油サーチャージ制度の意味は理解しているものの、あの「余計なものを払っている」ような感覚は、どうしても不愉快さが勝ります。JATAの更なる取り組みに大いに期待しています。(松本)
▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2011年6月第3週:6月13日0時~6月17日18時)
第1位
◆観光白書、日本人海外旅行者数は7.7%増 -23年度は震災復興に重点(11/06/15)
第2位
◆JATA、燃油サーチャージ廃止訴え航空局長に要望書提出(11/06/16)
第3位
◆HIS中間期は増収増益、純利益146%増に-震災影響も過去最高益(11/06/13)
第4位
◆日本/ベトナム航空協議、羽田就航可能に-成田自由化、12年夏から増便も(11/06/13)
第5位
◆仙台空港発の海外ツアー続々、HISや阪急も-7月以降は販売好調な動きも(11/06/14)
第6位
◆キャセイ、香港発訪日客回復に向け大型キャンペーン-日本発は堅調(11/06/14)
第7位
◆イタリア、原発被災者支援のロングステイ無料提供、予想超える反響(11/06/16)
第8位
◆日本航空、4月の国際線旅客数は47%減、座席利用率も苦戦(11/06/15)
第9位
◆全日空、成都線でカンフー・パンダ機を運航-イメージキャラクター起用も(11/06/15)
第10位
◆全日空のピーチ、アドバイザーにライアンエアー元会長(11/06/14)