観光庁、宿泊施設で被災者の受入支援−災害救助法の制度活用で

 観光庁は3月25日、旅館やホテルなど宿泊施設で県境を越えた被災者の受け入れ支援を実施すると発表した。災害救助法を活用し、関係団体や自治体の協力のもと宿泊施設を確保し、客室を借り上げ一時的な避難場所として被災者に無料で提供する。また、旅行業者と連携してバスなどの移動手段の手配も実施する。同日の定例会見で、観光庁長官の溝畑宏氏は「安定した居住環境ができるまでの間、安定した避難の場所を確保する必要がある」とし、厚生労働省などの関係省庁と連携し、受入を支援していく姿勢を強調した。

 受入施設は被災者を受け入れる県や市町村が被災県からの要請を受けて借り上げ、被災者に提供する。客室借り上げ条件は客室定員による利用で、1泊3食付きで1人当たり5000円以内とした。提供期間は仮設住宅など、継続的に居住できる施設が確保できるまでの当分の間とする。被災者の宿泊費や交通費については、宿泊費を受入県が、交通費を被災県が負担し、災害救助法の適用により受入県が負担した費用は被災県に求償される。最終的には国が被災県に対し補助金など必要な財政措置を講じる予定だ。

 受入施設については、全国旅館組合連合会(全旅連)が受入可能な施設のリストを作成し、観光庁に提出する。受入施設は全旅連組合員以外の旅館やホテルも受け付ける。観光庁によると、3月25日現在、秋田県、山形県、群馬県、神奈川県、富山県、愛知県の6県から、公的施設や組合員以外の施設を含む3万778人分の受入施設を確保したという。

 今後は被災県や自治体に対し、取りまとめた受入先リストを提示。今回取りまとめたものを第1報とし、引き続き第2報で情報を提供していく考えだ。被災県は県外の旅館、ホテルなどへの避難が必要と判断した被災者の情報を集約し、観光庁に情報提供する。観光庁は避難者リストを全旅連に提供し、受入施設と被災者の基本的なマッチングを実施。マッチングがととのった場合は、被災県と受入県と旅館組合との間で、具体的な受入スケジュールを調整するとともに、被災県と受入県の間の避難受入について必要な調整を実施していく。


▽観光施設の被害状況は「全容は不明」−日本人旅行者は4人の死亡を確認

 溝畑氏によると、3月25日現在、被災地域の観光施設については関係団体を通して情報収集を実施しているが、被災者の捜索や救護を最優先で行なっていることもあり、被害状況の全容はまだ明らかになっていない。日本人旅行者については、日本旅行業協会(JATA)の調査によると、4人の死亡を確認したという。外国人旅行者については死者などの被害の報告は3月25日現在ではあがっておらず、在京公館や日本政府観光局(JNTO)で引き続き安否確認を実施している。


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