中国国旅、訪日旅行は巨大な潜在市場−仕入れ高騰とガイドの質が課題

  • 2011年1月24日
 中国国際旅行社総社(CITS)銷售部総経理の趙玉萍氏は1月21日、ITホールディングスグループのTISが開催した「アジアの旅行市場活性化セミナー」で、中国人訪日旅行を「巨大な潜在市場」と分析した。その根拠としては、日本の自然や文化などの観光資源、安全性、日本式サービス、ショッピング時の品質面での安心感、時差、そして「年齢を問わずファンが多い」ことなどを列挙。その上で、「私たち旅行会社としては、中国は13億人の人口を抱えており、健康で平穏な中日関係を保つことができれば、いくらでも潜在性はあると信じている」と語った。

 一方、課題としては、航空運賃やランド手配費用の高騰などを指摘。ランドでは、「6日間程度の旅行だと、1年前と比べて約1万円値上がりしている」と説明。航空運賃も、日本航空(JL)の路線整理などの影響で座席供給量が減少しており、ランドとともに欧州旅行の費用を上回っている状況という。趙氏は、「半ば冗談であり(アイディアとして)正しいかどうかは別」と断りつつ、「ビジット・ジャパン・キャンペーンが展開され、中国の旅行会社にも各都道府県や旅行会社から毎日のようにセールスコールがいらっしゃるが、中国の旅行会社の中ではそのお金があるのなら座席の増加に努めてほしいという声もある」とした。

 また、「日本への旅行自体の満足度は高い」一方で、「日本に限らず中国の旅行会社も同様だが、旅行会社のサービスへの満足度は高いとはいえない」と説明。その上で、「旅行業はサービス業であり、ともにサービス向上に努めるべき」と訴えた。特に、日本での中国語ガイドについては、ガイドとしての資格やガイドとして備えるべき知識を持っていないケースが多く、「旅行者が抱く不満の中で最も大きい」と改善の必要性を訴えた。

 このほか、日本の旅行会社は「富裕層に対する関心が高すぎる」とも指摘。富裕層は「あくまでもピラミッドの頂上のごく一部」であり、大衆層や中間層に注目すべきとした。また、例えば医療観光についても、「5年前にはすでに提案されていたが、当時と内容が変わっていない」とし、「例えば検診後に治療が必要になった際のアフターサービスや保険など、一歩進んだ提案」を希望した。


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