11年度観光予算案、2割減の98億8400万円−人材育成4.4倍、休暇分散2.9倍に

  • 2011年1月6日
 観光庁によると、2011年度の政府予算案で観光庁関係予算は前年比20%減の101億4800万円となった。このうち、海外向け予算は27%減の81億2600万円、国内向け予算は60%増の17億5800万円、その他が42%減の2億6400万円。概算要求額は3%増の130億8200万円であったが、11月に実施された事業仕分けの結果が反映された。

 主要事項として掲げる訪日外国人3000万人プログラム第1期は23%減の86億3400万円、観光を核とした地域の再生・活性化プログラムは18%減の4億7200万円とともに減額。一方、観光人材の育成は340%増の2億2100万円、ワークライフバランスの実現に向けた環境の整備は192%増の8200万円、観光統計の整備は44%増の4億7500万円、事務費などのその他の行政経費等は46%減の2億6400万円となった。

 訪日外国人3000万人プログラム第1期では、訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)のみで60億5500万円を計上。東アジア諸国を最重点市場と位置づけ、なかでも中国市場向けに「元気な日本復活特別枠」から18億5000万円を配分し、プロモーション強化をはかる。また、訪日外国人旅行者の受入環境整備事業は254%増の6億800万円を計上した。このうち4億5000万円は受入環境水準向上事業に、6000万円は医療観光促進に向けた環境の整備に振り分け、残りは通訳案内士など受入を担う人材の育成にあてる。このほか、日本政府観光局(JNTO)運営費交付金が4%増の19億7200万円となった。MICEの誘致・開催事業は事業仕分けを受けて予算計上見送りとなったが、ビジット・ジャパン事業の枠組み内での取り組みは継続する。

 観光を核とした地域の再生・活性化では、事業仕分けにより観光地域づくりプラットフォーム支援事業が前年比50%減の2億2100万円となった。広域観光促進基礎調査事業は463%増の2億100万円となり、事業仕分けで指摘された効果検証の必要性をうけ、分析手法の開発を実施していく。

 観光人材の育成では、観光立国推進人材育成事業が1196%増の9700万円と大幅に増加。これはMICEの誘致・開催のため実施していた人材育成事業を拡大したもので、国内外の専門家の招請による研修や、国内外の先進的な取り組みを実施している観光地への派遣研修を実施していく。観光地域づくり人材ガイドライン事業は339%増の8000万円、大学における観光経営マネジメント教育支援が77%増の4300万円となった。

 ワークライフバランスの実現に向けた環境の整備は、192%増の8200万円となった。休暇取得の分散化に関する導入促進事業に使用され、休暇分散の意義や重要性についての普及や啓発事業に注力するとともに、実証事業の地域を拡大していく。