現地レポート:ウィーン、宮殿や美術館などユニークベニューで小規模MICE
歴史的建造物でできる小規模なMICE
「音楽の都」ならではのコンサート体験も
ウィーンは13世紀後半から20世紀初頭まで、ハプスブルク王朝の都が置かれていた。そのため、世界遺産に指定された中心部の旧市街をはじめ、街の随所に王宮や宮殿、教会などの歴史的な建造物が数多く残されており、こうした建物をMICEの会場である「べニュー」として利用できる。企業の経費削減傾向のなか、大規模なMICEが開催しにくい現在、ウィーンでは大規模から小規模まで、MICEに対応できる王宮や宮殿などがそろう。さらに、ウィーンならではのカフェやコンサート体験で、特別なMICEを演出することが可能だ。今回はウィーンのMICEファムツアーに参加し、ウィーンの独自性を活かしたユニークなMICEの可能性を探った。
会議の開催数は世界一
日本市場はインセンティブが有力
ウィーンはMICE、特に国際会議の開催地として世界でも人気の都市だ。国際会議協会(ICCA)の統計では、2009年に開催された国際会議件数は、都市別では5年連続でウィーンが世界第1位。国際団体連合(UIA)の統計でもシンガポール、ブリュッセル、パリに次いで311件の第4位となっている。
ウィーン・コンベンション・ビューロー(VCB)ディレクターのクリスチアン・ムッチュレヒナー氏によると、日本市場は「規模は小さいが、重要なマーケット」と捉えており、「MICE開催期間に加えて2泊から3泊滞在するため、ヨーロッパ圏内からの旅行者よりも滞在日数が多い」という。ただし、日本から遠距離のデスティネーションであるため、現実として大規模の学会や国際会議の開催は難しいと分析する。
そのため、日本市場では企業のインセンティブ需要が高い。ただし、ウィーン在日代表部観光&企画担当アシスタントマネージャーの福田明子氏は「ウィーンでのMICEの認知はまだ低い」とし、開催地としてのウィーンの認知向上をはかる考えだ。その一環として、「音楽の都」としてのウィーンの訴求力も利用。ウィーンはモーツァルトやベートーヴェンなど、有名な音楽家が数多く暮らした「音楽の都」であり、日本の音楽ファンに人気のあるデスティネーションであることから、今後は音楽学校の修学旅行や音楽団体の演奏旅行もMICEの一環と捉え、誘致を促進していく考えだ。
大型コンベンション施設から小規模団体に適した宮殿まで
多様なニーズに対応
ウィーンのMICE素材として代表的なものは、市内に点在するハプスブルク家の王宮や貴族の宮殿などの歴史的建造物だ。とくに世界遺産に指定されたウィーン旧市街に多く、それぞれ徒歩でアクセスすることもできる。VCBが発行するMICEのベニュー集「ウィーン・ミーティング・プランナーズガイド」には、「宮殿(パレス)」と名の付く素材だけで7件が登録されており、500人程度の大規模から30人程度の小規模なものまで対応が可能だ。宮殿は華やかさと特別感を演出できる効果があるが、大きい建物が多いため、小規模でも利用できる場所は貴重だ。世界的な経済不況の影響で大きなMICEが組みにくいなか、参加者からは中小規模の団体に対応できる宮殿への注目が高かった。グループに適切な大きさと予算が選べる宮殿があるのは、ウィーンのMICEの特徴のひとつといえる。
ウィーンの歴史的なベニューといえば、やはり市の中心にあるホーフブルク王宮だろう。ここはハプスブルク王朝時代、冬の居城として1918年にオーストリア=ハンガリー帝国が崩壊するまで王宮として実際に使用されていた。1958年から会議施設として利用されており、50人から1300人まで対応できる35の会議室をもち、イベントでは最大で4900人まで受け入れ可能だ。2009年には日本の化粧品会社が500人規模のガラ・ディナーを開催したという。宮殿の各部屋はもちろん、エントランスの豪華さは圧巻で、ハプスブルク家の華麗な文化を体験できる。また、現代的なデザインのスペースも用意されており、20人程度で利用できる会議室は少人数のインセンティブでも使いやすい。他の部屋とはあまりに異なる雰囲気に、参加者の中からは驚きの声とともに「伝統とモダンのコントラストが面白い」との声も上がっていた。
小。中規模の団体に対しては、ダウン伯爵の宮殿だったダウン・キンスキー宮殿や建築家の名を冠したフェルステル宮殿、旧証券取引所など、コンパクトな歴史的建造物もある。ダウン・キンスキー宮殿は30人から80人での利用に最適。大型のベニューよりコストの面で利用しやすいこともあり、参加者からは「王宮よりもコンパクトで使い勝手がよさそう」と好感触を得ていた。また、フェルステル宮殿は、1階にウィーンならではの伝統的なカフェ「ツェントラル」があり、クラッシックな内装のカフェ内でのランチも楽しめる。
観覧車での貸し切りパーティなど、個性あふれるベニューも
歴史的建造物以外にも、ユニークなベニューもそろう。1873年に万国博覧会の会場になったプラーターの遊園地には、映画「第三の男」で登場した大観覧車があり、ゴンドラの貸し切りが可能だ。定員は15人程度で、ケータリングで食事も手配できる。観覧車は1周約15分。当日は降雪のため、美しいウィーンの街並みは残念ながら拝めなかったが、参加者は眼下に広がる遊園地のアトラクションや雪が降り積もる幻想的な景色を見ながら、カナッペやカクテルを楽しむユニークな体験に、「カクテルレセプションでの利用など」と、可能性を見出していた。
また、美術館でもパーティが開催できる。ウィーンの宮殿や美術館では、建物の一部などを貸し出し、その代金を会場の維持や建物の修復に充てている。MICEの専門スタッフもおり、ニーズに合わせてさまざまなアレンジに対応できる体制を整えているところも多い。美術史博物館では、カクテルパーティと絵画鑑賞を組み合わせた団体向けパッケージも用意。閉館後の見学に加え、内部にあるカフェを貸し切り、音楽家などを手配し生演奏を聞きながらのパーティも実施できる。
さらに今回のファムツアーでは、アルベルティーナ美術館で、コレクションを創設したアルベルト・フォン・ザクセン・テシェン公爵の妻であり、マリアテレジアの娘のクリスティーナに紛した役者が美術館の由来を紹介し、当時の宮廷の様子やウィーンのクリスマスを解説するサプライズイベントもあった。ウィーンでは、カフェではモーツァルト、ホーフブルク王宮では宮廷女官といったように、役者が歴史的人物に扮してその地の紹介をするサービスがあり、出現場所や扮装する人物をあらかじめオーダーできる。ウィーンらしさを演出するちょっとしたサプライズゲストとして、インセンティブに華を添えるのも一案だろう。
ウィーンを体験するオリジナリティあふれるアクティビティも
ベニューばかりでなく、MICEを印象付ける「体験」でも、ウィーンらしいものがある。例えば、ウィーンでは市内のあちこちに伝統的なものからモダンなものまで、さまざまなカフェが軒を連ねているが、そうしたカフェでのお菓子作りなどのアクティビティをインセンティブに盛り込むことも可能だ。日本でも有名なデーメルでは、お菓子作りのワークショップを開催しており、今回はデーメルの看板商品、ザッハー・トルテのデコレーションを体験した。10人から90人まで体験が可能で、体験時間はおよそ45分間。自分で作ったケーキがお土産になったのはうれしいもの。体験後はデーメル自慢のケーキの数々とコーヒーで午後のおやつ「ヤウゼ」をいただいた。
また、2009年にケルントナー通りにオープンしたスワロフスキーのフラッグショップでは、1回につき約30人まで、携帯ストラップやキーリング、ブレスレットなどのアクセサリーの制作体験を実施している。スワロフスキーによると、来年はコース内容も拡充し、今年に比べて制作できるものが増える予定だ。参加者からは「高校生や専門学校生の研修旅行などでも楽しめる」と、幅広い利用を考えているようだ。
さらに、シェーンブルン宮殿のオランジェリーで開催される観光客向けのコンサートも、インセンティブでの利用をすすめたい。一般の観客がいるなか最前列の座席を予約すれば、演奏者と握手できるさりげない演出で特別感を感じてもらうことができる。ウィーンは市内の各所で毎晩のようにコンサートが開催されている。世界遺産で楽しめるコンサートとして、特別感を演出するにはぴったりだろう。
コンパクトな街で移動も簡単、公共交通機関も発達
ウィーンはコンパクトな街であるため、市内随所にあるベニュー間の移動もスムーズだ。公共交通機関が充実しており、グループのタイプに応じて路面電車、地下鉄、バス、都市近郊列車に乗り放題のパスを活用し、街歩きを楽しんでもらうのも面白い。
ウィーン・シュヴェヒャート国際空港から市内までのアクセスも便利だ。バスでウィーン市内の中心部までは約20分程度。シティ・エアポート・トレイン(CAT)を使えば、空港から市内中心に程近いウィーン・ミッテ駅まで16分で到着する。空港自体も、MCTが25分とコンパクトであり、ヨーロッパの中央部にある地理的優位性を活かし、ヨーロッパの他都市と組み合わせたプランニングも可能だ。
現在、日本/オーストリアの直行便は、オーストリア航空(OS)が成田/ウィーン間を週6便で運航しているのみ。数百人規模の団体を誘致する場合、航空座席の確保という課題がある。そのため、現在のMICEは東南アジアなど近距離で航空座席量の多いデスティネーションへの送客が多いのも事実だ。ただし、不況の影響でMICEの規模が縮小する一方、費用対効果を求める傾向が強まるなか、時代にあった新しいMICEデスティネーションとしてウィーンを検討するよい機会となったようだ。
「音楽の都」ならではのコンサート体験も
ウィーンは13世紀後半から20世紀初頭まで、ハプスブルク王朝の都が置かれていた。そのため、世界遺産に指定された中心部の旧市街をはじめ、街の随所に王宮や宮殿、教会などの歴史的な建造物が数多く残されており、こうした建物をMICEの会場である「べニュー」として利用できる。企業の経費削減傾向のなか、大規模なMICEが開催しにくい現在、ウィーンでは大規模から小規模まで、MICEに対応できる王宮や宮殿などがそろう。さらに、ウィーンならではのカフェやコンサート体験で、特別なMICEを演出することが可能だ。今回はウィーンのMICEファムツアーに参加し、ウィーンの独自性を活かしたユニークなMICEの可能性を探った。
会議の開催数は世界一
日本市場はインセンティブが有力
ウィーンはMICE、特に国際会議の開催地として世界でも人気の都市だ。国際会議協会(ICCA)の統計では、2009年に開催された国際会議件数は、都市別では5年連続でウィーンが世界第1位。国際団体連合(UIA)の統計でもシンガポール、ブリュッセル、パリに次いで311件の第4位となっている。
ウィーン・コンベンション・ビューロー(VCB)ディレクターのクリスチアン・ムッチュレヒナー氏によると、日本市場は「規模は小さいが、重要なマーケット」と捉えており、「MICE開催期間に加えて2泊から3泊滞在するため、ヨーロッパ圏内からの旅行者よりも滞在日数が多い」という。ただし、日本から遠距離のデスティネーションであるため、現実として大規模の学会や国際会議の開催は難しいと分析する。
そのため、日本市場では企業のインセンティブ需要が高い。ただし、ウィーン在日代表部観光&企画担当アシスタントマネージャーの福田明子氏は「ウィーンでのMICEの認知はまだ低い」とし、開催地としてのウィーンの認知向上をはかる考えだ。その一環として、「音楽の都」としてのウィーンの訴求力も利用。ウィーンはモーツァルトやベートーヴェンなど、有名な音楽家が数多く暮らした「音楽の都」であり、日本の音楽ファンに人気のあるデスティネーションであることから、今後は音楽学校の修学旅行や音楽団体の演奏旅行もMICEの一環と捉え、誘致を促進していく考えだ。
大型コンベンション施設から小規模団体に適した宮殿まで
多様なニーズに対応
ウィーンのMICE素材として代表的なものは、市内に点在するハプスブルク家の王宮や貴族の宮殿などの歴史的建造物だ。とくに世界遺産に指定されたウィーン旧市街に多く、それぞれ徒歩でアクセスすることもできる。VCBが発行するMICEのベニュー集「ウィーン・ミーティング・プランナーズガイド」には、「宮殿(パレス)」と名の付く素材だけで7件が登録されており、500人程度の大規模から30人程度の小規模なものまで対応が可能だ。宮殿は華やかさと特別感を演出できる効果があるが、大きい建物が多いため、小規模でも利用できる場所は貴重だ。世界的な経済不況の影響で大きなMICEが組みにくいなか、参加者からは中小規模の団体に対応できる宮殿への注目が高かった。グループに適切な大きさと予算が選べる宮殿があるのは、ウィーンのMICEの特徴のひとつといえる。
ウィーンの歴史的なベニューといえば、やはり市の中心にあるホーフブルク王宮だろう。ここはハプスブルク王朝時代、冬の居城として1918年にオーストリア=ハンガリー帝国が崩壊するまで王宮として実際に使用されていた。1958年から会議施設として利用されており、50人から1300人まで対応できる35の会議室をもち、イベントでは最大で4900人まで受け入れ可能だ。2009年には日本の化粧品会社が500人規模のガラ・ディナーを開催したという。宮殿の各部屋はもちろん、エントランスの豪華さは圧巻で、ハプスブルク家の華麗な文化を体験できる。また、現代的なデザインのスペースも用意されており、20人程度で利用できる会議室は少人数のインセンティブでも使いやすい。他の部屋とはあまりに異なる雰囲気に、参加者の中からは驚きの声とともに「伝統とモダンのコントラストが面白い」との声も上がっていた。
小。中規模の団体に対しては、ダウン伯爵の宮殿だったダウン・キンスキー宮殿や建築家の名を冠したフェルステル宮殿、旧証券取引所など、コンパクトな歴史的建造物もある。ダウン・キンスキー宮殿は30人から80人での利用に最適。大型のベニューよりコストの面で利用しやすいこともあり、参加者からは「王宮よりもコンパクトで使い勝手がよさそう」と好感触を得ていた。また、フェルステル宮殿は、1階にウィーンならではの伝統的なカフェ「ツェントラル」があり、クラッシックな内装のカフェ内でのランチも楽しめる。
観覧車での貸し切りパーティなど、個性あふれるベニューも
歴史的建造物以外にも、ユニークなベニューもそろう。1873年に万国博覧会の会場になったプラーターの遊園地には、映画「第三の男」で登場した大観覧車があり、ゴンドラの貸し切りが可能だ。定員は15人程度で、ケータリングで食事も手配できる。観覧車は1周約15分。当日は降雪のため、美しいウィーンの街並みは残念ながら拝めなかったが、参加者は眼下に広がる遊園地のアトラクションや雪が降り積もる幻想的な景色を見ながら、カナッペやカクテルを楽しむユニークな体験に、「カクテルレセプションでの利用など」と、可能性を見出していた。
また、美術館でもパーティが開催できる。ウィーンの宮殿や美術館では、建物の一部などを貸し出し、その代金を会場の維持や建物の修復に充てている。MICEの専門スタッフもおり、ニーズに合わせてさまざまなアレンジに対応できる体制を整えているところも多い。美術史博物館では、カクテルパーティと絵画鑑賞を組み合わせた団体向けパッケージも用意。閉館後の見学に加え、内部にあるカフェを貸し切り、音楽家などを手配し生演奏を聞きながらのパーティも実施できる。
さらに今回のファムツアーでは、アルベルティーナ美術館で、コレクションを創設したアルベルト・フォン・ザクセン・テシェン公爵の妻であり、マリアテレジアの娘のクリスティーナに紛した役者が美術館の由来を紹介し、当時の宮廷の様子やウィーンのクリスマスを解説するサプライズイベントもあった。ウィーンでは、カフェではモーツァルト、ホーフブルク王宮では宮廷女官といったように、役者が歴史的人物に扮してその地の紹介をするサービスがあり、出現場所や扮装する人物をあらかじめオーダーできる。ウィーンらしさを演出するちょっとしたサプライズゲストとして、インセンティブに華を添えるのも一案だろう。
ウィーンを体験するオリジナリティあふれるアクティビティも
ベニューばかりでなく、MICEを印象付ける「体験」でも、ウィーンらしいものがある。例えば、ウィーンでは市内のあちこちに伝統的なものからモダンなものまで、さまざまなカフェが軒を連ねているが、そうしたカフェでのお菓子作りなどのアクティビティをインセンティブに盛り込むことも可能だ。日本でも有名なデーメルでは、お菓子作りのワークショップを開催しており、今回はデーメルの看板商品、ザッハー・トルテのデコレーションを体験した。10人から90人まで体験が可能で、体験時間はおよそ45分間。自分で作ったケーキがお土産になったのはうれしいもの。体験後はデーメル自慢のケーキの数々とコーヒーで午後のおやつ「ヤウゼ」をいただいた。
また、2009年にケルントナー通りにオープンしたスワロフスキーのフラッグショップでは、1回につき約30人まで、携帯ストラップやキーリング、ブレスレットなどのアクセサリーの制作体験を実施している。スワロフスキーによると、来年はコース内容も拡充し、今年に比べて制作できるものが増える予定だ。参加者からは「高校生や専門学校生の研修旅行などでも楽しめる」と、幅広い利用を考えているようだ。
さらに、シェーンブルン宮殿のオランジェリーで開催される観光客向けのコンサートも、インセンティブでの利用をすすめたい。一般の観客がいるなか最前列の座席を予約すれば、演奏者と握手できるさりげない演出で特別感を感じてもらうことができる。ウィーンは市内の各所で毎晩のようにコンサートが開催されている。世界遺産で楽しめるコンサートとして、特別感を演出するにはぴったりだろう。
コンパクトな街で移動も簡単、公共交通機関も発達
ウィーンはコンパクトな街であるため、市内随所にあるベニュー間の移動もスムーズだ。公共交通機関が充実しており、グループのタイプに応じて路面電車、地下鉄、バス、都市近郊列車に乗り放題のパスを活用し、街歩きを楽しんでもらうのも面白い。
ウィーン・シュヴェヒャート国際空港から市内までのアクセスも便利だ。バスでウィーン市内の中心部までは約20分程度。シティ・エアポート・トレイン(CAT)を使えば、空港から市内中心に程近いウィーン・ミッテ駅まで16分で到着する。空港自体も、MCTが25分とコンパクトであり、ヨーロッパの中央部にある地理的優位性を活かし、ヨーロッパの他都市と組み合わせたプランニングも可能だ。
現在、日本/オーストリアの直行便は、オーストリア航空(OS)が成田/ウィーン間を週6便で運航しているのみ。数百人規模の団体を誘致する場合、航空座席の確保という課題がある。そのため、現在のMICEは東南アジアなど近距離で航空座席量の多いデスティネーションへの送客が多いのも事実だ。ただし、不況の影響でMICEの規模が縮小する一方、費用対効果を求める傾向が強まるなか、時代にあった新しいMICEデスティネーションとしてウィーンを検討するよい機会となったようだ。
機内食にこだわったフライトを提供−オーストリア航空のビジネスクラス
ウィーンへは、オーストリア航空(OS)が成田/ウィ
ーン間を週6便で運航している。OSは1便につき2人、資
格を持った「フライング・シェフ」が同乗しており、ビ
ジネスクラスの機内食の温め作業や盛り付け作業を担当
している。温かいパンやデザート、コーヒーなどシェフ
自らサーブしてくれる機会もあり、特別感が味わえる。
また、OSならではのビジネスクラスのサービスが、ウィ
ーン風カフェサービスだ。用意された10種類以上のメニ
ューから好きな種類のコーヒーを選択でき、機内にいな
がらオーストリアのカフェ文化が体験できる。
コーヒーで気分をリラックスさせたら、172度とほぼ
フラットにリクライニングするシートで眠る。全長2メ
ートルのシートはマッサージ機能もついており、足を伸
ばしてゆったりとくつろげた。シートの下部にはラップ
トップPC用の電源が用意されており、脇にはPCや書類、
本などが入る収納スペースもあるため、機内での仕事も
しやすい。ウィーンまでは約12時間かかるが、快適な空
の旅が楽しめた。
取材協力:ウィーン市観光局/ウィーン在日代表部、オーストリア航空
取材:本誌 栗本奈央子