ITソリューション特集:コラム<ITソリューションの有効活用>(5)
ITソリューションの有効活用で旅行ビジネスが変わる
コラム第5回:位置情報がもたらす旅行の楽しさ、旅行の価値
ITの進化がもたらす旅行業界の変化を語る上で、「位置情報の活用」というのは欠かすことのできないトピックスだ。位置情報は旅行との親和性が高く、様々なシーンでの活用が期待できる。それは旅行の楽しさを広げるのはもちろん、旅行中の行動をも変えてしまうことにつながる。すなわち、旅行価値を向上させる可能性があるのだ。第5回では、この位置情報が旅行業界にもたらす好影響についてお伝えしたい。
位置情報サービスが旅のコンシェルジェサービスになる
2007年頃から携帯端末にGPS機能が搭載され、位置情報は一般的なものになりつつある。車のカーナビがポピュラーになり、ドライブすることが楽しくなって車で外出するモチベーションの向上に寄与したように、同じことが旅行における位置情報サービスで実現している。
例えば、出張先などで急な宿泊を探す場合、ユーザーは検索サイトを訪れ、いくつもの条件を入れて空き室を探していた。それが位置情報を活用することで、「今いる場所に近い、宿泊可能なホテル」を地図上に表示させることが可能となる。さらに「今いる場所」からそのホテルまでのルートを表示させるなど、最終的に検索から予約、ホテルへのアクセス案内まで可能とする、非常に使い勝手のよいサービスが増えているのだ。
すでに、これらのサービスはスマートフォンのアプリなどで多く見つけられる。楽天トラベルや一休などがこのようなサービスを提供している。ユーザーとしては、検索するのに地方や都道府県などのエリア情報をいくつも入れる必要がなく、操作感は大きく向上した。今いる場所と周辺の情報が地図上に表示される。
また、全日空(NH)の旅達アプリでは現在地情報をGPSで取得し、その地点付近のクチコミ情報を提供してガイドブックのような役割で旅行の楽しさにつなげている。このほかにも地球の歩き方アプリの「パリAR2010」では、現在地から近隣の観光地情報を紹介するだけでなく、AR(拡張現実)機能によりディスプレイを通して観光地情報が見られるサービスを展開。ユーザーの現地での行動を手助けしている。
このような位置情報を使ったサービスにより、ユーザーが受ける恩恵は多い。今まで旅先で興味のあるレストランがあっても、詳細なルートが分からずに断念することもあっただろう。しかし、現在地から店舗までのナビゲーションにより、行きたいところに行けるようになる。それはまるで旅のコンシェルジュサービスのように、ユーザーの行動を手助けしてくれる。
さらに、観光情報や移動時間の精度があがることで、時間を有効活用できるという利点もある。観光付きパッケージツアーのフリータイムが、「1時間では短い」という不満から「1時間でたっぷり楽しめた」という満足に変わる可能性もあるのだ。現地でスムーズに行動し、時間を有効活用できたならユーザーの満足度は上がるだろう。もちろん、そのような満足した感情や楽しさをSNSで発信することも多いはずだ。
旅行に満足してもらうことができれば、リピートに繋がることも十分に考えられる。このような旅行者が喜ぶサービスの提供から満足度の向上をはかることについて、もっと力を入れてもいいのではないだろうか。
旅の思い出共有にも位置情報が力を発揮
旅行の思い出とは「どこで、何をした」というものであり、それには位置情報が不可欠だ。写真や思い出に位置情報がつくことで、旅行をリアル感たっぷりにトレースすることが可能になるのだ。また、思い出の発信についても、そのリアリティ感は他の人と情報を共有し、共感につながっていくことが多い。
楽天トラベルがリリースした「たびメモ」というiPhoneアプリでは、位置情報を旅の思い出共有に活用するしくみを持っている。このアプリをインストールしたiPhoneで風景や建物を撮影すると、iPhoneのGPS機能によりたびメモ専用の地図に撮影場所の位置情報が印される。そこにコメントを付け足すと地図付きで旅の思い出を共有することが可能だ。
もちろん、ここで作成した旅の思い出は、自分の次の旅行のモチベーションにつながることに加え、ツイッターやフェイスブックなどのSNSを通じて紹介でき、多くのユーザーに旅の良さや旅行のサービスが知れることとなる。こういった情報の広がり方は、旅の終了後にもサービスの告知や企業サイトの流入や認知度の向上に活用できるのだ。
旅行とは必ず移動を伴うものだ。それに加え、見知らぬ場所に行くことが多い。ゆえに、ユーザーは現在地や近隣情報について検索をかけて不安を払拭し、好奇心を駆り立てて、それをもとに行動を起こす。その一連の動きの中で位置情報は欠かせないものなのだ。ユーザーの満足度向上にもつながりやすい位置情報を、ぜひとも旅行サービスに活用していきたい。
コラム第5回:位置情報がもたらす旅行の楽しさ、旅行の価値
ITの進化がもたらす旅行業界の変化を語る上で、「位置情報の活用」というのは欠かすことのできないトピックスだ。位置情報は旅行との親和性が高く、様々なシーンでの活用が期待できる。それは旅行の楽しさを広げるのはもちろん、旅行中の行動をも変えてしまうことにつながる。すなわち、旅行価値を向上させる可能性があるのだ。第5回では、この位置情報が旅行業界にもたらす好影響についてお伝えしたい。
位置情報サービスが旅のコンシェルジェサービスになる
2007年頃から携帯端末にGPS機能が搭載され、位置情報は一般的なものになりつつある。車のカーナビがポピュラーになり、ドライブすることが楽しくなって車で外出するモチベーションの向上に寄与したように、同じことが旅行における位置情報サービスで実現している。
例えば、出張先などで急な宿泊を探す場合、ユーザーは検索サイトを訪れ、いくつもの条件を入れて空き室を探していた。それが位置情報を活用することで、「今いる場所に近い、宿泊可能なホテル」を地図上に表示させることが可能となる。さらに「今いる場所」からそのホテルまでのルートを表示させるなど、最終的に検索から予約、ホテルへのアクセス案内まで可能とする、非常に使い勝手のよいサービスが増えているのだ。
すでに、これらのサービスはスマートフォンのアプリなどで多く見つけられる。楽天トラベルや一休などがこのようなサービスを提供している。ユーザーとしては、検索するのに地方や都道府県などのエリア情報をいくつも入れる必要がなく、操作感は大きく向上した。今いる場所と周辺の情報が地図上に表示される。
また、全日空(NH)の旅達アプリでは現在地情報をGPSで取得し、その地点付近のクチコミ情報を提供してガイドブックのような役割で旅行の楽しさにつなげている。このほかにも地球の歩き方アプリの「パリAR2010」では、現在地から近隣の観光地情報を紹介するだけでなく、AR(拡張現実)機能によりディスプレイを通して観光地情報が見られるサービスを展開。ユーザーの現地での行動を手助けしている。
このような位置情報を使ったサービスにより、ユーザーが受ける恩恵は多い。今まで旅先で興味のあるレストランがあっても、詳細なルートが分からずに断念することもあっただろう。しかし、現在地から店舗までのナビゲーションにより、行きたいところに行けるようになる。それはまるで旅のコンシェルジュサービスのように、ユーザーの行動を手助けしてくれる。
さらに、観光情報や移動時間の精度があがることで、時間を有効活用できるという利点もある。観光付きパッケージツアーのフリータイムが、「1時間では短い」という不満から「1時間でたっぷり楽しめた」という満足に変わる可能性もあるのだ。現地でスムーズに行動し、時間を有効活用できたならユーザーの満足度は上がるだろう。もちろん、そのような満足した感情や楽しさをSNSで発信することも多いはずだ。
旅行に満足してもらうことができれば、リピートに繋がることも十分に考えられる。このような旅行者が喜ぶサービスの提供から満足度の向上をはかることについて、もっと力を入れてもいいのではないだろうか。
旅の思い出共有にも位置情報が力を発揮
旅行の思い出とは「どこで、何をした」というものであり、それには位置情報が不可欠だ。写真や思い出に位置情報がつくことで、旅行をリアル感たっぷりにトレースすることが可能になるのだ。また、思い出の発信についても、そのリアリティ感は他の人と情報を共有し、共感につながっていくことが多い。
楽天トラベルがリリースした「たびメモ」というiPhoneアプリでは、位置情報を旅の思い出共有に活用するしくみを持っている。このアプリをインストールしたiPhoneで風景や建物を撮影すると、iPhoneのGPS機能によりたびメモ専用の地図に撮影場所の位置情報が印される。そこにコメントを付け足すと地図付きで旅の思い出を共有することが可能だ。
もちろん、ここで作成した旅の思い出は、自分の次の旅行のモチベーションにつながることに加え、ツイッターやフェイスブックなどのSNSを通じて紹介でき、多くのユーザーに旅の良さや旅行のサービスが知れることとなる。こういった情報の広がり方は、旅の終了後にもサービスの告知や企業サイトの流入や認知度の向上に活用できるのだ。
旅行とは必ず移動を伴うものだ。それに加え、見知らぬ場所に行くことが多い。ゆえに、ユーザーは現在地や近隣情報について検索をかけて不安を払拭し、好奇心を駆り立てて、それをもとに行動を起こす。その一連の動きの中で位置情報は欠かせないものなのだ。ユーザーの満足度向上にもつながりやすい位置情報を、ぜひとも旅行サービスに活用していきたい。
執筆:森田亘(株式会社山敷広告制作所 ディレクター)
http://www.yamako.jp/index.shtml
旅行検索・比較サイト「AB-ROAD」での制作業務を経て、
山敷広告制作所に入社。ディレクターとして旅行業界関連の
広告制作のみならず、ウェブ上のサービスやコンテンツの企
画を担当し、旅行商品の販促強化を目的としたサービスの企
画・提案から運用まで幅広く携わる。