観光立国推進基本計画を見直しへ、交政審で議論開始−春頃の閣議決定めざす

  • 2010年11月24日
 観光庁は11月22日、観光立国推進本部と交通政策審議会(交政審)観光分科会を開催し、観光立国推進基本計画の見直しに着手した。基本計画は、観光立国の実現に関する施策の総合的かつ計画的な推進をはかるためのもので、2006年12月に制定された観光立国推進基本法で策定が定められている。現在の計画は2007年6月に閣議決定され、5年間を対象としているが、2010年6月頃をめどに情勢の変化をふまえて見直すことが明記されていた。新計画は、国土交通大臣の馬淵澄夫氏が交政審観光分科会に変更案の議論を諮問。政府を挙げて観光立国を実現するための道筋を明らかにするものとして策定し、春頃の閣議決定をめざす。

 22日の交政審観光分科会で、国土交通大臣政務官の小泉俊明氏は、「世界の観光客数は2009年に8億8000万人のところが2020年には15億人に、アジア太平洋地域も同様に1億8000万人が4億人に増加すると推計されている」と指摘。その上で、「成長著しいアジアをはじめ世界中から観光客を取り込むための国際競争に打ち勝つことを考えれば、個人的にはフランスの8000万人すら見据える気概で、政府全体で施策を精力的に展開していかなければならないと考えている」と挨拶。

 また、今年6月に閣議決定された新成長戦略でも観光立国が7つの戦略分野に入っていることに触れ、「今回の基本計画の見直しは、今後の観光立国の推進策を総合的かつ計画的に推進していく上で、極めて重要な指針を提供するもの」と強調。委員の活発な議論に期待を示した。

 改定のスケジュールは、今後2011年1月と3月、そして4月以降に交政審観光分科会の開催を予定。並行して各省との協議や業界、自治体などからの要望の受け付け、パブリックコメントなどを実施する。4月以降の交政審観光分科会の会合で改定基本計画案を了承し、閣議決定と通常国会への報告につなげる考えだ。

 なお、現在の観光立国推進基本計画は、「訪日外客数1000万人」「日本人海外旅行者数2000万人」「国内の観光旅行消費額30兆円」「日本人国内旅行の宿泊数4泊」「国際会議開催件数5割増」をめざしている。国際会議以外は2010年が目標年度だが、9月までの累計で訪日外客数は660万1300人、海外旅行者数は1249万5000人であるなど、全体的に目標達成が難しいのが現状だ。一方、訪日外客数を最終的に3000万人に拡大する目標も設定されており、新計画でどのような目標が掲げられるかに注目が集まる。