仕分けで「空港整備勘定」廃止、予算10%圧縮−航空機燃料税引き下げも批判

  • 2010年10月29日
 政府の行政刷新会議は10月28日、特別会計を対象とした事業仕分け第3弾で、社会資本整備事業特別会計の「空港整備勘定」について「廃止」と判定した。空港整備勘定は航空会社が支払う空港使用料や着陸料、航空機燃料税などを財源とし、空港や航空路の整備、関西国際空港への補給金などに支出するもの。建設国債の発行により一般財源からも数百億円の歳入をうけている。国土交通省は2011年度予算の概算要求で3340億円を要求。オープンスカイを進める中で、日系航空会社の競争力を向上するために航空機燃料税の3年間の半減を求めていたが、仕分けでは一般財源が増加している点などが問題視された。

 空港整備勘定について仕分けでは「廃止し、早急に民営化等を進める」ことを求め、民営化の実現までは「暫定的に(一般会計と)区分して経理をおこなう」とした。また、事業内容の見直しと、概算要求の「10%までの圧縮幅で見直し」も求めた。

 仕分けの議論では、特に概算要求で日系航空会社の競争力向上のために航空機燃料税を前年度当初予算の716億円から313億円に引き下げた一方、一般財源からの歳入が415億円から468億円に増加していることに批判が集まった。仕分け人からは、468億円は建設国債の発行による「国民の借金」であるとし、国内空港の建設が一段落して空港整備事業が縮小していく中で、「まず返すべきは国民の借金。航空会社の負担軽減はまるで方向が違う」とする意見もあがった。

 また、駐車場など空港関連ビジネスについては「空港の整備、運営と一体化する検討を、情報公開を進めつつおこなう」ことも求めた。特に、国土交通省からの天下りを受け入れ、空港関連ビジネスを独占していると批判を受ける空港環境整備協会や航空保安協会など関連法人についても、「解散等について早期に実現をはかる」こととした。また、空港整備勘定だけでなく関係公益法人や関係企業を一体化した会計を示すように求めたほか、空港の需要予測についても、正確な予測を得る観点から天下り団体への発注を禁止するよう検討することとした。

 なお、空港運営の改革については、伊丹空港について2012年度の民営化実現をめざし、国土交通省で来年度の法案提出に向けた準備を進めているところ。また、11月中にも検討会を立ち上げる予定だ。