今月の神社(第3弾):秋祭りの神社で雅楽体験−北澤八幡神社


オススメテーマ:神社で体験!日本古来の「雅楽」
神社:北澤八幡神社
御祭神:応神天皇、比売神(ひめかみ)、神功皇后)、仁徳天皇
御利益:安産健康、延命長寿、学問・技芸発展、福徳興産
雅楽−神社で楽しむ日本古来の音楽や舞

そうしたお祭で忘れてはならないのが、日ごろの感謝と祈りをこめて神様に奉げられる「雅楽」です。雅楽は、日本古来の音楽や舞踊のことで、奈良時代以前からの日本古来のもの、奈良以降に中国から伝来したものや、平安時代に新しく作られたものを含む総称です。外来音楽に起源をもつ管弦や舞を伴う舞楽(ぶがく)などの種類に分かれ、古くから神道儀礼の中で培われてきたこともあり、神社では現在でも様々な儀式の際に演奏されています。式典でよく演奏される「越天楽」は有名ですが、そのほか普段あまり聞いたり観たりする機会がなく、「どこに行けば雅楽の生演奏が楽しめるの?」という疑問をもたれる方もいるのではないでしょうか。
そこで、おすすめなのが今回紹介する神社のお祭での奉納演奏や奉納舞楽。野外で代表的な演目を気軽に楽しむことができます。今回訪れた下北沢にある北澤八幡神社の例大祭(毎年9月の第一土・日曜日)でも、夜に奉納舞楽があると聞き、早速見に行ってきました。
ゆったりとした舞楽で平安時代に思いを馳せる

今回の奉納舞楽では、「悠久の舞」「胡蝶」「林歌」「陵王」という4種類の演目が演じられました。宵闇にぼんやりと浮かび上がった舞殿で、ゆったりとした管弦の調べにあわせた舞には、言葉にあらわせない感動があります。祭りの夜、雑踏のなかでもそこだけ凛とした雰囲気につつまれており、平安時代にタイムスリップしたような気分になりました。
今回の私の目当ては「陵王(りょうおう)」。これは中国北斉の将軍として名高い高長恭の武勇伝を題材にした舞楽で、管弦のみの演奏のときは蘭陵王(らんりょうおう)とも呼ばれます。絶世の美貌の持ち主だった高長恭将軍が、戦に参加するとき士気を落とさないよう獰猛な仮面で顔を隠していた、という伝説に基づいた舞で、龍の頭を模した面をつけて舞われるのが特徴的です。有名な舞楽なので、何かの機会に見たことがある人も多いのではないでしょうか。
陵王は活発な動きが特徴の「走舞」と呼ばれる舞で、躍動感がある動きは見ていて飽きません。鞨鼓(かっこ)や太鼓のリズムと、竜笛(りゅうてき)や笙(しょう)、篳篥(ひちりき)が奏でるメロディにあわせ、足を踏みならし、優雅に、かつ力強く舞う所作はまさに圧巻で、将軍らしい勇猛さを感じさせます。今まで色々な神社で陵王の舞を見てきましたが、今回は力強さに加え、落ち着いたなかでの荒々しいものを隠し持った印象で、うっとりと見入ってしまいました。同じ演目でも、演奏のスピードや舞い手の方ごとに雰囲気が違うのは、生の舞台ならではの楽しみといえるでしょう。
秋は神社でお祭や十五夜の観月祭など、雅楽が演奏されるイベントが数多く開催されます。また、毎年の定期演奏会もあり、道友会でも10月中旬に乃木神社で行われる管絃祭での奉納演奏をはじめ、各地で演奏をしているそうです。今年の秋は祭りを楽しみつつ、「芸術の秋」として雅楽に触れてみてはいかがでしょうか?
祭りの華、神輿−17年ぶりに百實神輿が登場
もちろん、雅楽以外にもお祭には数多くの楽しみがあ
ります。祭りの華である神輿もそのひとつ。今回の北澤
八幡神社の例大祭では17年ぶりに北澤惣町睦神輿(そう
ちょうむつみみこし)が登場。百實神輿とよばれる約
400キログラムの重さの大きなお神輿で、随所に非常に
繊細な細工がなされており、壊れたら今ではもう直せる
人がほとんどいないとのこと。職人の技術の素晴らしさ
を目の当たりにしました。
そのほか、8つの睦による計18基の神輿が神社境内に集
まり、睦ごとの装束を身にまとった担ぎ手や観光客で神
社境内が埋め尽くされました。神輿を勢いよく担ぐ姿は
まさに圧巻で、これぞお祭!といった雰囲気が楽しめま
した。
▽これまでの神社特集
◆ 今月の神社(第2弾):新屋山神社奥宮−通称「金運神社」で金運アップ!(2010/08/28)
◆ 今月の神社(第1弾):熊野那智大社−滝がご神体の神社で癒されよう(2010/07/24)
