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IT活用で地域振興と集客へ−NSKが旅行業向けスマホ活用セミナー開催

  • 2010年9月6日
 IT技術による観光ビジネスの新しい可能性をさぐる、「旅行業向けスマートフォン活用セミナー」が9月1日、東京都内で開催された。日本システム開発(NSK)の主催によるもので、人気のスマートフォン「iPhone」を販売するソフトバンクモバイル(SBM)が共催した。

 講師として登壇したSBMマーケティング本部事業推進統括部シニアエヴァンジェリストの中山五輪男氏は、iPhoneを活用した事例を紹介。そして福岡・大名地域で実際にTwitterを用いた街おこしをおこなっている、フライトシステムコンサルティングの執行役員兼サービス事業部長の杉山隆志氏がその具体例を紹介。その上で、ITを地域活性化・観光集客に結びつけることは可能としつつ、「ITを使えば成功するわけではない。地域ごとの特異性をどう見せるかが重要。そして、もっとも重要なのは『ヒトを呼びたい』とするスピリットだ」とまとめた。

 まず中山氏は、全国で導入されているiPhoneを使った観光集客の事例を紹介。京都フラワーツーリズム推進協議会が行う「花なび」では、iPhone用の専用アプリに京都市内の季節の花々を写真付きで紹介する仕組みを構築。観光客に興味を持たせ、同時に現地を訪れやすくした。また、三井アウトレットパーク仙台港ではiPhoneの貸し出しを行い、店舗内にショップ検索や子供向けに地図を利用した探検遊びなども提供しているという。

 中山氏はまた、旅行商品の最新情報をiPhone上で見ることができるシステムを構築することも重要とし、その具体例としてエイチ・アイ・エス(HIS)の名を挙げた。将来の展望として、iPhoneによるカード決済の可能性や、写真を内蔵カメラで写すとWebサイトへ誘導できる電子透かしを用いたプロモーションなどについても言及した。

 続いて杉山氏は、自身が取り組んでいる福岡・大名地域での事例を紹介。IT活用のトレンドが「いつでも、どこでも、誰にでも」から「今だけ、ここだけ、あなただけ」に変化しつつある今、一人ひとりのスマートフォンに向けて「本日限りの特売」や「空き席あり」など、今だけの情報を提供することが重要としている。さらにイベントなどを定期的に企画し、客の中に常連をつくり出すことも大切だと説く。その一方で、客を呼ぶために安易な安売りに走りがちな点に注意が必要との警告も鳴らした。また、参加者主導の流れをつくらないと継続が難しいとも語った。

 もうひとつの事例として、博多市を訪れる外国人観光客向けの支援サイトにも触れ、外国人の視線による観光地紹介やバスを含む移動手段の詳細な紹介などに配慮したと述べた。「こうした情報をクラウド化し、外国人観光客が本国にいるときから利用できるサービスを構築すると、大いに集客が期待できる」とも語った。