DS模擬問題:アイルランド編 文学大国アイルランドの奥深い魅力
問 アイルランドを代表する文豪、ジェイムス・ジョイスの長編小説『ユリシーズ』の内容として、あてはまらないものはどれか
A 作品は1904年6月16日の1日の出来事を描写している
B 作品はホメロスの『オデュッセイア』のパロディでもある
C 作品の舞台は、アイルランドの架空の町である
D 主人公レオポルド・ブルームは新聞社に勤めるさえない中年男である
――正解は下記へ
ココに注目!
▽ダブリンを描写する異色作『ユリシーズ』
アイルランドは文学大国としても知られている。なかでも偉大にして異色な作家といえば、ジェイムス・ジョイス(1882〜1941)だろう。短編集『ダブリン市民』をはじめ、『若き芸術家の肖像』、『フィネガンズ・ウェイク』などの作品が知られているが、そのなかでもひと際異彩を放っているのが長編小説『ユリシーズ』だ。
まず、古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』をモチーフにしているのがユニーク。『オデュッセイア』は、主人公オデュッセウスが各地を放浪する話だが、『ユリシーズ』は、新聞社に勤めるさえない中年男性レオポルド・ブルームが、丸1日ダブリンの町をうろつく様を描写している。それも、1904年6月16日午前8時から翌日の午前2時までの18時間、約1時間の出来事を1章で扱い、全18章にまとめているのだ。ちなみに、『ユリシーズ』とは、『オデュッセウス』英語読みである。
ジェイムスは、たとえダブリンが消滅しても、この本があれば細部まで再構築できるだろうという言葉を残すほど忠実にダブリンの町を描写した。そのため、今でもダブリン市内で作品にまつわる場所を訪れることができる。例えば、ダブリンの南、サンディ・コーブに建つジョイス・タワーやパブ「デイヴィ・バーンズ」、肉屋、墓地、図書館などだ。作品にちなみ、6月16日はブルームズ・デイとなっており、今でもファンが集まってゆかりの地を歩く恒例行事も行われている。ダブリンを訪れる前に『ユリシーズ』を読んでおくと、ダブリン市内で小説の舞台となった場所を探す楽しみが増えるだろう。
▽作家の生家や記念館も点在
アイルランドが文学大国であるのは、人口わずか400万人弱という国から、過去に4名ものノーベル文学賞受賞作家を輩出している点でもうなずける。世界的な劇作家ジョージ・バーナード・ショウ(1856〜1950)がノーベル文学賞を受賞した作品は、ジャンヌ・ダルクを主人公にした『聖女ジョウン』。『ピグマリオン』はブロードウェーで『マイ・フェア・レディ』として上演され、大ヒットした。彼の活躍の場はロンドンだったが、ダブリンに生家があり、寝室や居間、応接間などが当時のままに残されている。
詩人であり劇作家でもあるウィリアム・バトラー・イェイツ(1865〜1939)は、ケルトの神話や伝説を作品にしたほか、アイルランド文芸協会やアイルランド国民劇場協会を設立するなど、文学界に多大な影響を残した。アイルランド国立美術館には、イェイツ・ミュージアムが併設されているほか、北西部の町スライゴーにもイェイツ記念館がある。サミュエル・ベケット(1906〜1989)の代表作には、三部作『モロイ』、『マロウンは死ぬ』、『名付けえぬもの』があるが、その合間に書いたという不条理劇『ゴドーを待ちながら』も有名だ。彼はパリを拠点としていたが、そのパリでジェイムス・ジョイスと出会っており、強い影響を受けたといわれている。
最後の1人はシェイマス・ヒーニー(1939〜)。北アイルランド出身の詩人で、ノーベル文学賞を受賞したのは近年、1995年のことである。
そのほか、アイルランドには世界の文学界に多大な影響を及ぼした作家が多い。『ドラキュラ』のブラム・ストーカー(1847〜1912)や『ガリバー旅行記』のジョナサン・スウィフト(1667〜1745)、近年では映画化された『ザ・コミットメンツ』のロディ・ドイルも知られている。
日本にもファンが多いのは、戯曲『サロメ』や童話『幸福の王子』、小説『ドリアン・グレイの肖像』を書いた劇作家オスカー・ワイルド(1854〜1900)だ。ジェイムス・ジョイス同様、アイルランド作家の代表格で、世界中に信奉者がいる。上流階級に生まれたオスカーの生家は、ダブリンの一等地に建つジョージアン様式の家。1、2階が見学でき、ガイドツアーを実施する日もあるので調べてから訪れたい。
なお、そのほかのダブリンゆかりの作家については、ダブリン作家記念館で知ることができる。19世紀末の豪華な館を記念館として開館したのは1991年。作家の写真や手紙、作品にまつわる品々が展示されていて興味深い。

正解:C

B 作品はホメロスの『オデュッセイア』のパロディでもある
C 作品の舞台は、アイルランドの架空の町である
D 主人公レオポルド・ブルームは新聞社に勤めるさえない中年男である
――正解は下記へ
ココに注目!
▽ダブリンを描写する異色作『ユリシーズ』

まず、古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』をモチーフにしているのがユニーク。『オデュッセイア』は、主人公オデュッセウスが各地を放浪する話だが、『ユリシーズ』は、新聞社に勤めるさえない中年男性レオポルド・ブルームが、丸1日ダブリンの町をうろつく様を描写している。それも、1904年6月16日午前8時から翌日の午前2時までの18時間、約1時間の出来事を1章で扱い、全18章にまとめているのだ。ちなみに、『ユリシーズ』とは、『オデュッセウス』英語読みである。
ジェイムスは、たとえダブリンが消滅しても、この本があれば細部まで再構築できるだろうという言葉を残すほど忠実にダブリンの町を描写した。そのため、今でもダブリン市内で作品にまつわる場所を訪れることができる。例えば、ダブリンの南、サンディ・コーブに建つジョイス・タワーやパブ「デイヴィ・バーンズ」、肉屋、墓地、図書館などだ。作品にちなみ、6月16日はブルームズ・デイとなっており、今でもファンが集まってゆかりの地を歩く恒例行事も行われている。ダブリンを訪れる前に『ユリシーズ』を読んでおくと、ダブリン市内で小説の舞台となった場所を探す楽しみが増えるだろう。
▽作家の生家や記念館も点在

詩人であり劇作家でもあるウィリアム・バトラー・イェイツ(1865〜1939)は、ケルトの神話や伝説を作品にしたほか、アイルランド文芸協会やアイルランド国民劇場協会を設立するなど、文学界に多大な影響を残した。アイルランド国立美術館には、イェイツ・ミュージアムが併設されているほか、北西部の町スライゴーにもイェイツ記念館がある。サミュエル・ベケット(1906〜1989)の代表作には、三部作『モロイ』、『マロウンは死ぬ』、『名付けえぬもの』があるが、その合間に書いたという不条理劇『ゴドーを待ちながら』も有名だ。彼はパリを拠点としていたが、そのパリでジェイムス・ジョイスと出会っており、強い影響を受けたといわれている。
最後の1人はシェイマス・ヒーニー(1939〜)。北アイルランド出身の詩人で、ノーベル文学賞を受賞したのは近年、1995年のことである。
そのほか、アイルランドには世界の文学界に多大な影響を及ぼした作家が多い。『ドラキュラ』のブラム・ストーカー(1847〜1912)や『ガリバー旅行記』のジョナサン・スウィフト(1667〜1745)、近年では映画化された『ザ・コミットメンツ』のロディ・ドイルも知られている。

なお、そのほかのダブリンゆかりの作家については、ダブリン作家記念館で知ることができる。19世紀末の豪華な館を記念館として開館したのは1991年。作家の写真や手紙、作品にまつわる品々が展示されていて興味深い。

正解:C