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カナダ復活の年へ−JATAがミッション派遣、30万人に向け現地側と議論

  • 2010年6月4日
(バンフ発:本誌 山田紀子) 日本旅行業界(JATA)はカナダに海外旅行委員会からなるミッション団を派遣、5月31日(現地時間)にバンフでカナダ側の現地観光局やサプライヤーなどとの座談会を実施した。ビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)の取り組みの一環で実現したもの。日本とカナダの双方が有する現在のカナダ旅行市場への認識を確認して課題を整理し、前年比50%増となる日本人旅行者30万人の目標達成につなげるのが目的だ。

 ミッションの団長であるJATA副会長の佐々木隆氏は、「今年はカナダ復活の年と位置づけ、30万人の送客を目標とした。大きな数だが、現在のデフレスパイラルから脱却するにはこれくらいの数が必要」と、日本側の意思を表明。そのうえで「双方の協力なしに2010年に上昇気流に乗せることはできない」と両国の協力関係の重要性を強調した。

 カナダ側からはカナダ観光局(CTC)カナダ運営委員会のマイク・ルビー氏が挨拶に立ち、「今年は両国にとっての勝負の年。協力して商品開発をすることが要点。カナダが利益のあがるデスティネーションであることを理解してもらい、販促を進めてほしい」と訴えた。

 座談会は両国の参加者をあわせて4つのグループに分け、カナダ送客への「機会」と「障壁」を議論。機会は「体験型素材」「若者・学生市場」「アクティブシニア市場」「MICE」など10項目、障壁は「新プロダクトの不足」「リピーターの少なさ」「航空座席不足」「カナダのピーアールの魅力の少なさ」など8項目が出された。このうちの参加者の投票が多い項目について、さらに各グループで戦略を検討。

 この結果を受け、会の締めくくりとしてCTC日本地区代表のアンソニー・リッピンゲール氏は「活発な議論がされ、次に何をすべきかが明確になった。意見をフィードバックし、解決方法を考えていく」と挨拶した。日本側では海外旅行委員会とワーキング・グループでアクション・プランを練り上げ、即実行に移していく予定だ。


▽座談会で率直な意見交換、互いの真剣さ直に感じる機会に

 今回の座談会は、VWCの重点デスティネーションの指定後、日本とカナダの双方が、お互いの持つ日本発カナダ市場の現状認識と今後の課題の共有を望んで実現したもの。よりフランクに意見が交わされるよう、VWCが座談会形式を提案し、CTCなどカナダ側が議題と進行を計画。半年かけて現状課題を整理し、会議に望んだ。VWC2000万人推進室長の澤邊宏氏によると、JATAミッションで座談会形式での議論は初の試みだという。

 両国の参加者からは「サプライヤーや観光局などさまざまの立場の人と一緒に送客の課題を話すことができ、有意義だった」「カナダ側の真剣さが伝わった」といった感想が聞かれた。双方のマネジメントクラスおよび実務レベルのトップが会し、アクティブに意見を交わすことで課題整理以上の成果が生まれたようだ。


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